中小企業診断士資格とは、経営に関するコンサルティングの国家資格です。
経営コンサルティング関連で唯一の国家資格で、試験の難易度が高い難関資格ともいわれています。
試験に合格するためには膨大な勉強時間が必要となるため、資格を活かせる仕事や取得するメリットなどを知ってから取り組みたいですよね。
また、中小企業診断士にはさまざまな評判があり、本当なのか気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、中小企業診断士資格の活かし方や収入、評判などについて網羅的に解説します。
資格の特徴をしっかり理解して、試験勉強のモチベーションアップやキャリア形成に役立ててくださいね。
中小企業診断士資格の評判
中小企業診断士資格は、SNSやインターネット上において、さまざまな評判が見受けられます。
なかにはマイナスの評判も散見されるため、試験を受けるか迷っている方もいるのではないでしょうか。
実際のところ、評判通りの内容もあれば、そうでない内容もあります。
ここでは代表的な3つの評判をご紹介し、悪い意見が生じる理由などを解説します。
中小企業診断士が実務で役に立たない?
「中小企業診断士資格は役に立たない」という評判が、SNSやインターネット上で見受けられます。
このような声がある一番の理由は、中小企業診断士には「独占業務」がないためです。
同じ士業の税理士や公認会計士には独占業務があるため、比較すると見劣りしてしまいます。
また、中小企業診断士の仕事は、幅広い企業のコンサルティングを行うため、一緒に仕事をする事業の知識も求められます。
そのため、中小企業診断士資格のみで活躍するのは難しいともいわれています。
しかし、中小企業診断士は経済界や政界からも期待を集めており、今後も必要性が増していく魅力的な資格です。
中小企業診断士が実務で役立たないという評判については、今後の必要性もあわせて以下の記事で解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士は実務で役に立たない?独占業務がないことが理由?
中小企業診断士の資格取得はやめたほうがいい?
「中小企業診断士を目指すのはやめておけ」という意見もあります。
理由は、前述の「独占業務がない」などが挙げられます。
また、中小企業診断士は資格を持っているだけでは仕事を取るのが難しく、人脈の構築や営業活動が必要不可欠です。
そのうえ試験の難易度が高いこともあり、次のような人は中小企業診断士試験の受験をしないほうがいいかもしれません。
- 資格さえ取ればなんとかなると思っている人
- 資格がなくてもコンサル業務に支障がない人
- 勉強を頑張れない人
- 金銭的に余裕がない人
上記の人に中小企業診断士をおすすめしない理由や、資格を取得するメリットなどは以下の記事で解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士取得はやめとけ?やめるべき理由と目指すメリットは?
中小企業診断士は儲からない?
「食べていけない」「儲からない」という収入面での評判も散見されます。
たしかに、令和3年に実施された一般社団法人中小企業診断協会のアンケート調査では、「売上・年収が年収400万円以下」と回答した中小企業診断士が全体の23%いました。
日本の平均年収の約430万円と比べて低所得といえる診断士が多数いるという結果です。
しかし同調査では、コンサルティング業務に携わる中小企業診断士のうち「売上・年収が1,000万円超」の割合が、全体の3割を超えていることもわかっています。
このように、中小企業診断士は一概に「儲からない」というわけではありません。
低所得の中小企業診断士が一定数いる理由や、高い年収を得る働き方などについては、以下のページで詳しく解説しています。
中小企業診断士が「食べていけない」「儲からない」という理由は?本当?
中小企業診断士の資格を取得するメリット
中小企業診断士に関するさまざまな評判を目にして、「本当に役に立つの?」と受験を迷う方もいるかもしれません。
結論からお伝えすると、中小企業診断士はキャリア形成において役立つ資格です。
具体的には、次のようなメリットがあります。
- 経営コンサルタント系唯一の国家資格というブランド性
- 資格取得を通して人脈形成ができる
- 経営に関する幅広い知識が身につく
上記のメリットを活かして、独立開業やキャリアチェンジ、社内でのキャリアアップや副業など、幅広いキャリア形成に役立てられます。
誰でも合格できる簡単な試験ではありませんが、その分価値のある国家資格ですので、迷っている方はぜひチャレンジしてみてください。
ただ、メリットを活かさずに持っているだけでは仕事に繋がらないのも事実です。
中小企業診断士の資格を取得するメリットや、メリットの活かし方については、以下の記事をご確認ください。
中小企業診断士の資格が役に立つって本当?資格取得のメリットは?
営業マンが中小企業診断士資格を取得するメリット
営業職としてキャリアステップを考えている方のなかで、中小企業診断士資格に興味を持っている方も多いでしょう。
顧客と直接コミュニケーションを取る営業職は、中小企業診断士の学習で得られる知識と相性がいいともいわれています。
営業マンのあなたが中小企業診断士資格を取得すると、次の5つのメリットを得られます。
- 経営に関してレベルの高い会話ができるようになる
- 企業分析・課題解決の提案力、マーケティング能力がつく
- マネジメント力がつき、社内のキャリアアップに役立つ
- 転職によるキャリアアップの幅が広がる
- 副業や独立に役立つ
ただし、中小企業診断士資格の勉強は、短期的な成績アップやキャリアアップを狙う目的には適していません。
営業マンが中小企業診断士資格を取得するメリットやデメリットについて、詳しくは以下の記事をご確認ください。
営業マンが中小企業診断士資格を取得するメリット・デメリットは?
中小企業診断士資格を活かせる仕事
就職や転職において有利になるために、中小企業診断士資格の取得を目指す方もいるのではないでしょうか。
ここでは、中小企業診断士資格を活かせる仕事について解説します。
中小企業診断士には独占業務がない
前述のとおり、中小企業診断士の資格には「独占業務」がありません。
独占業務とは、「特定の資格を持っている者だけが行える業務」です。
つまり、中小企業診断士の資格を持っていなくても、企業から対価を受けて経営に関するコンサルティング業務を行っても法的に問題はありません。
そのため、「取得しても役に立たない」などといわれてしまうわけです。
しかし、実質的に中小企業診断士しかできない独占的な業務は多数あります。
例えば、商工会議所や行政に対する経営支援や、中小企業の助成金や補助金申請などの業務が挙げられます。
独占業務がないからこそ得られるメリットなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
中小企業診断士に独占業務はある?資格取得のメリットについて解説
中小企業診断士資格が活かせる就職先
中小企業診断士資格を保有している方は、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。
実は、中小企業診断士の仕事内容は、経営に関することだけではなく多岐にわたります。
一例ですが、外部の専門家として企業の成長戦略の指針作りや、企業が行う研修や教育訓練の社外講師なども行えます。
また、中小企業診断士は、経済学、財務・会計、経営理論、運営管理など、ビジネスに役立つ実践的な知識を学びます。
そのため、多くの職種・業種の就職や転職に有効です。
次のような就職先が候補に挙げられます。
- 中小企業支援機関
- 中小企業基盤整備機構
- 都道府県等中小企業支援センター
- 地域の関係機関(商工会議所、商工会)
- コンサルタント会社
- 一般企業など
各就職先の詳しい解説をはじめ、中小企業診断士資格を活かせる仕事については以下の記事で解説しています。
中小企業診断士の資格が活かせる仕事とは?活躍できる就職先を解説
中小企業診断士資格取得者のBIG4+1への転職
資格を活かして、コンサル業界のBIG4+1への転職が有利になるか、疑問に思う方もいるでしょう。
コンサル業界のBIG4+1とは、以下の5社をいいます。
- デロイトトーマツコンサルティング合同会社
- PwCコンサルティング合同会社
- KPMGコンサルティング株式会社
- EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
- アクセンチュア
特に上4つのBIG4は、世界4大監査法人ともいわれており、監査以外にも企業の経営方針のコンサルティングなど幅広い業務を行っています。
結論としては、資格を持っているだけでは有利にはなりません。
なぜならこれらの企業では、資格の有無よりも、学歴や経歴などの実績・経験が重視されるからです。
以下の記事では、BIG4+1の詳しい説明や、コンサル業界への転職で資格取得以外にやったほうがいいことなどをまとめています。
中小企業診断士の資格があればBIG4+1への転職は有利になる?
中小企業診断士資格の就職への活かし方
では、BIG4+1以外の企業への就職には、中小企業診断士資格は有利になるのでしょうか?
結論としては、資格を取得したからといって、資格そのものが就職に有利に働くことは多くありません。
中小企業診断士には独占業務がなく、資格必須の求人が多くないためです。
また、30代以降の就職活動はスキルや経験が重視される傾向がある、などの理由も挙げられます。
ただし、「コンサルティング業界への転職」などの資格が活かせる方法もあり、活かし方次第では就職を有利に進める材料になり得ます。
中小企業診断士資格の就職への活かし方については、以下の記事で解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士による大手企業のコンサルティング
中小企業診断士という名称から、中小企業のコンサルティングを行うイメージができると思います。
では、大企業はどうなのか、気になる方も多いでしょう。
結論として、中小企業診断士でも大手企業のコンサルティングをすることは可能です。
中小企業診断士の資格勉強において学ぶ、企業の運営や経済学などの知識を応用することで、大手企業のコンサルティングを行えます。
ただし、大手企業のコンサルティングをするために中小企業診断士を取得するのは得策とはいえません。
中小企業診断士の大手企業のコンサルティングに関しては、以下の記事でご確認ください。
中小企業診断士の平均年収
前述のとおり、中小企業診断士の収入は幅広いことがわかっています。
高収入を得ている人がいるのがわかっても、平均値がどのくらいなのか気になりますよね。
結論として、平均年収は700〜800万ほどといわれています。
独立している中小企業診断士の場合は、売上は500〜800万円ほどです。資格保有者の多くは、一般企業、コンサルティング会社で勤務、または独立診断士として働くことがほとんどで、働き方によって平均年収も変わってきます。
それぞれの働き方での平均年収や、目的の年収に達成するための働き方について気になる方は、以下の記事をご確認ください。
中小企業診断士の年収の平均・中央値は?目標年収別の取り組みを解説
中小企業診断士のおすすめ副業
収入を増やしたいと思っていても、なかには現状の仕事では中小企業診断士資格を活かせない方もいるでしょう。
そのような方におすすめなのが副業です。
副業なら、実務経験を積みながら副収入を得ることができます。
中小企業診断士が副業でできる仕事には、以下のものがあります。
- コンサルティング業務
- 中小企業診断士試験に関連する業務
- 企業研修・セミナー講師業務
- 取材・執筆活動
- 補助金・助成金申請支援など
ただし、会社で働く方が副業を行う場合は、会社の許可や確定申告など注意すべき点もいくつかあります。
また、中小企業診断士を続けるためには5年に1回の更新要件のクリアが必須です。
以下の記事では、中小企業診断士の副業に関する詳しい解説や、更新要件を達成するコツなどをまとめています。
中小企業診断士のおすすめ副業は?収入と実務ポイントを同時に稼ぐ方法
中小企業診断士資格の取得事例
試験勉強を進めるうえで、どんな方が中小企業診断士資格を取得しているのか分かると、勉強のモチベーションアップにつながりますよね。
ここでは、中小企業診断士資格の2つの取得事例をご紹介します。
中小企業診断士資格の最年少合格
中小企業診断士というと、社会人がスキルアップやキャリアアップを目指して取得するのが一般的です。
では、高校生など若いうちに受験する方はいないのでしょうか?
結論、過去に高校生でも合格している方はいます。
一次試験の最年少合格者は16歳、二次試験の最年少合格者は19歳です。
最年少で合格すると、有名になってテレビ局などの取材を受けたり、若いうちからビジネスの基礎知識を体得できたり、といったメリットがあります。
しかし、高校生が中小企業診断士試験を受験するにはデメリットもあります。
以下の記事では、高校生が中小企業診断士を受験するメリット・デメリットと、合格するための方法などをまとめています。
中小企業診断士は高校生でも合格できる?過去最年少合格は何歳?
中小企業診断士資格を持つ芸能人・有名人
実際にどんな方が取得しているのか、有名な方だとイメージしやすいですよね。
テレビやインターネットで活躍している芸能人や有名人では、以下の方々が中小企業診断士を取得しています。
- 三橋貴明さん(経済評論家)
- 勝間和代さん(経営コンサルタント、経済評論家、プロ雀士)
- 高田旭人さん(ジャパネットたかた代表取締役社長)
- 小川賢太郎さん(ゼンショーホールディングス代表取締役会長)
- 井村俊哉さん(投資家、YouTuber)
芸能人で取得している方はそれほど多くありませんが、お金にまつわる仕事の第一線で活躍されている方ばかりです。
勉強のモチベーションアップにもつながりますね。
以下の記事では、中小企業診断士の資格を持つ芸能人・有名人についてさらに深堀りして解説しています。
中小企業診断士の資格を持つ芸能人・有名人は?意外なある人も有資格者
中小企業診断士資格のまとめ
この記事では、中小企業診断士資格について、さまざまな情報をご紹介しました。
このページで紹介した内容は、中小企業診断士資格を知るための概要にすぎません。
項目ごとに詳しい内容を準備していますので、興味を持った内容はぜひご確認いただけますと幸いです。
中小企業診断士資格についての理解を深め、取得後のキャリアに活かせるよう準備しておきましょう!