中小企業診断士を目指すことを周囲に話すと、やめとけと言われる場合があります。
また、ネット検索でもサジェストにやめとけというワードが出てくるようになっており、気になっている人が多いことがわかります。
実際にやめておくべきなのか、気になってしまい勉強に集中できない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、中小企業診断士試験をやめた方がいいと言われる理由や実際にやめておいた方がいい人、取得した場合のメリットを解説します。
この記事を読んで少しでもメリットが勝っているのであれば、ぜひチャレンジしましょう。
中小企業診断士の受験をやめとけと言われる理由は?
実際に中小企業診断士の受験をやめとけと言われる理由には、どのようなものがあるのでしょうか?
独占業務がなく他の士業に比べて見劣りする
もっともわかりやすく言われる理由が、中小企業診断士には、他の多くの士業には存在する独占業務がないことです。
司法書士であれば登記、税理士であれば税務、社労士であれば社会保険手続きなどがあり、これらの業務は資格を保有している人にしかできません。
実施できる人が限定されていれば競争が激しくならないため、仕事の供給が安定する可能性が高いです。
一方で中小企業診断士は、中小企業の経営コンサルティングが主な業務ですが、コンサルティング業務を行うためには資格を必要としません。
このことから、苦労して中小企業診断士の資格を取るのであれば、独占業務がある他の資格を目指した方がいいだろうということで、やめとけと言われるようです。
中小企業診断士を取っても食っていける保証がない
中小企業診断士資格の取得者の7割程度は、独立せずに企業に所属し続けています。
独立して中小企業診断士として活動している3割の人について年収を確認すると、300万円~3,000万円程度に分布しており、幅が広いことがわかります。
中小企業診断士は、資格を持っているだけでは仕事を取ることが難しく、仕事を取るためには、人脈の構築や営業活動が必要不可欠です。
せっかく苦労して資格を取っても、それだけで年収が上がるわけではなく、年収を上げるための努力も他の士業に比べると難しいと考えられています。
実際に、想定通り稼げていない人が多くいることから、中小企業診断士を取るのはやめとけと言われます。
こちらのtweetを見るとわかるように、実際には仕事を取っていける能力がない人が一定程度いることから、このように言われてしまうようですね。
中小企業診断士にも当てはまる話。
仕事はいくらでもあるし、ニーズはある。
ニーズに答える能力がなくて食っていけないだけで。
能力が追い付かないと公的機関のお客様負担0か、補助金のように明らかにお客に目に見えるメリットのある仕事しかとれなくなる。最近は補助金があるからいいが。 https://t.co/6LqBq4mDft— 竹上将人(中小企業診断士・BCPコンサル) (@the_last_leaf) July 6, 2022
中小企業診断士試験を取るのは大変
中小企業診断士の試験は、第1次試験、第2次試験に分かれており、それぞれ7科目、4科目+口述試験とかなり労力が必要な試験です。
過去の経験からある程度範囲は絞られていますが、具体的な試験範囲は公開されておらず幅広いため、完璧を目指して勉強しようとしても一朝一夕では到達できません。
合格した後に使えるとか使えないとかの議論ではなく、そもそも試験に合格するのが大変だから、やめとけと言われる場合もあります。
特に中小企業診断士は、コンサルタント業務をやっていない社会人が多く受験しているため、本業をしながらこれだけの勉強をこなすのは、実際かなり大変です。
必要な勉強時間は人によって異なりますが、二次試験まで含めると1,000時間にも及ぶと言われます。
やめとけと言われながらも、この苦しさを何とか乗り切ることで、大きな成果が得られるでしょう。
資格を取得されて差がつくことを避けたい
中小企業診断士の資格を取得することには、後述するように大きなメリットがあります。
周囲の人の中には、十分に資格の価値をわかっていなかったとしても、資格を取得されて自分と大きな差がついてしまうことを恐れている人がいるかもしれません。
これは単なるやっかみで、多くの場合その人は辛い状況を乗り越えられなかった人なので、その言葉を気にする必要はありません。
周囲の声も大事ではありますが、自分にとって何をなすことが重要なのかを十分に検討し、周囲の声を聞きすぎないことが重要です。
周りの人の反対にいちいち反応していたら、何もできなくなってしまうでしょう。
中小企業診断士試験の受験をやめた方がいい人の特徴は?
一方で、中小企業診断士試験の受験を、指摘通り本当にやめた方がいい人の特徴について紹介します。
資格さえ取れば何とかなると思っている人
先ほども紹介しましたが、中小企業診断士は独占業務がないため、ただ資格を取得しただけでは仕事を得られません。
資格を取ればなんとかなると思っている人は、生き残っていくために考え方を改める必要があります。
中小企業診断士の資格を仕事に活かしたいと考えているのであれば、中小企業診断士自身が元々持っていたスキルと組み合わせて特徴を出しましょう。
また、仕事を得るために必要な周囲とのコミュニケーションや困りごとを相談してもらえるような人脈を構築しておくことが重要です。
資格がなくてもコンサルティング業務に支障がない人
中小企業診断士の勉強開始前にコンサルタントとして働いており、特にコンサルティング業務に支障が出ていない人もやめておく方が無難でしょう。
コンサルタントとして働く中で、実戦経験に基づいた知識を得ることで試験が楽になる可能性はありますが、無理して取るメリットは大きくありません。
知識面で足りていない部分があると感じている方が、その補完のために勉強するのは有意義ですが、メリットとデメリットを比較して判断しましょう。
中小企業診断士試験の勉強にかける時間で、実戦経験を積む方が有意義な場合もあるでしょう。
7科目もの勉強を頑張れない人
中小企業診断士の第1次試験は7科目あり、それぞれの科目が200ページ程度のテキストが存在します。
中小企業診断士の資格取得は魅力的に感じていても、膨大なテキストの内容を把握し、7科目の合格を目指すのは困難です。
一度心が折れてしまうと、再度勉強を開始するのは困難になるため、そこまでにかけた時間が無駄になってしまう可能性が高いです。
最初から、自分自身が頑張れると自信をもっていえるボリュームの資格を選択するといいでしょう。
金銭的な余裕がない
中小企業診断士は、1次試験、2次試験、口述試験がよく知られていますが、実際に資格を承認されるためには、実務補修を行う必要があります。
実務補修まで含めると、試験取得までに20万円弱の費用が必要であり、金銭的な余裕がない場合には大きな出費です。
また、資格を維持するにも年間数万円程度の費用が必要になるため、資格を取得することのメリットと金銭的な余裕度のバランスを取ることは重要です。
実際に、かなりお金がかかるので、悩んでいる人もいます。
中小企業診断士、憧れではあるんだけど…
維持にもお金かかる、難易度が高く時間がかかりすぎる
経営コンサルタントとして独立を前提にするならいい資格なんだろうけどなぁ
悩ましい— ぴよタケ???? (@ZTn660RI0xCe2yK) March 10, 2022
中小企業診断士資格を取る5つのメリット
ここまで、ネガティブな内容を紹介してきましたが、中小企業診断士の資格を取ることには、次のような大きなメリットがあります。
経営に関する幅広い知識を習得できる
中小企業診断士の資格を取得するためには、経営に関わる7科目の試験に合格する必要があります。
例えば、企業経営理論ではマーケティングや組織論について幅広く学ぶことが可能です。
情報システムでは、IT関連やセキュリティについて、経営法務では法律関係について、他の科目でもそれぞれ経営に関する幅広い知識を学べます。
また、第2次試験では得た知識を想定される事例に対してあてはめ、応用するトレーニングを行い、実務補修では実際の企業における経営のサポートを行います。
これらの経験は、経営に関する仕事をする上でかけがえのない財産になるでしょう。
国家資格取得者という信頼を得られる
中小企業診断士は、10大士業に数えられ、国家資格の中でも取得が難しいとされています。
弁護士や公認会計士など、士業は先生とよばれることも多く、中小企業診断士も例外ではありません。
正直、現時点で中小企業診断士は、弁護士や税理士などと比べて、一般的な知名度はそれほど高くありません。
近年は中小企業の経営基盤強化に中小企業診断士の活躍が期待されているため、少しずつ認知度も大きくなっています。
不透明な経済環境が続くことが予想されるため、今後も中小企業診断士への期待は大きなものになっていくでしょう。
厳しい資格試験を乗り越えたことで自信に繋がる
中小企業診断士の試験は、幅広い分野の基礎的な知識を問う試験として7科目に及ぶ第1次試験、論述形式で応用力をはかる第2次試験、口述試験を合格する必要があります。
また、試験に合格した後も、資格を得るためには実務補修を完了する必要があり、そこでは短時間で実際の経営者とコミュニケーションを取りながら、提案をします。
このように、中小企業診断士の資格を取得するためには、大きな壁をいくつも乗り越えなければなりません。
多くの場合、仕事や勉学に励みながら並行して行うため、肉体的にも精神的にもかなり辛い状況が続くはずです。
それを、周囲の協力を得ながら乗り越えれば、大きな自信に繋がるでしょう。
そしてその自信は、次の困難な状況を乗り越えるために役立ち、普段の仕事のパフォーマンスに寄与する可能性も高いです。
実務補修を通して新たな人脈ができる
実務補修は、数名の試験合格者がチームを組んで対応します。
社会人になってからの資格試験は、一人で黙々とこなしていくことが多いですが、このように人脈が作れるのは貴重な機会です。
さらに、中小企業診断士は他の資格と違い、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーと知り合えるため、その人脈が新たな仕事や困ったときの相談をする際に、重要なものになるでしょう。
実際に、顧客から相談された内容が得意分野ではなかった場合に、実務補修で知り合ったメンバーを紹介したり、協力してもらったりするという話を聞きます。
このtweetの方はかなり得るものが大きかったようですね!
15日間に渡る実務補習、本日終了しました。コロナ禍ではありますが、同じ班の同士の皆さんと軽く打ち上げ。実務補習で得た知識、経験、人脈を、これからの診断士実務に活かしていきます。同志の皆様、お疲れさまでした!#中小企業診断士 #実務補習
— 浪速のリバウド@京都大学MBA在学中×中小企業診断士×技術士(経営工学部門) (@153133Socio) March 14, 2022
独立・転職を目指せる
最後に、中小企業診断士の資格を取得することで、独立・転職などのキャリアチェンジのチャンスを得られます。
企業に所属している人の中には、資格取得前の仕事にそのまま活かしている人、社内で職種変更を行いより経営層に近い仕事をする人、よりよい条件の企業に転職する人がいます。
また、3割の人は独立・開業しており、中小企業診断士を取得することが、状況を変える大きなきっかけになっていることがわかります。
特に、現状を何とかして変えたい。それもできるだけ経営よりの仕事がしたいと考えている人は、今の仕事の延長線上にその選択肢がないのであれば、中小企業診断士は最適解の一つです。
実際に中小企業診断士を取ると役に立つ理由については、こちらの記事で紹介しています。
中小企業診断士の資格が役に立つって本当?資格取得のメリットは?
ドリームキラーは気にせずチャレンジすることも必要
誰かが新しいことにチャレンジする際に、
- 「どうさ無理だよ」
- 「やめておいた方がいい」
- 「君のためを思って言ってるんだ」
このように、ネガティブな言葉をかけてくる人をドリームキラーとよびます。
武井壮さんも言っていますが、ドリームキラーの言うことなんて無視して、自分がやりたいことを実現する重要性について語っています!
難しい、実現が難しいからこそ面白く、夢を叶えたいと考えている人が、他人からネガティブなことを言われたくらいであきらめるなら、それまでだよ。という強い言葉もあります。
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メリットに魅力を感じるなら中小企業診断士を目指すべき
中小企業診断士は、難易度が高く、独占業務がないことから、目指すのをやめとけと言われることがあります。
実際に、今回紹介したように目指すのをやめておいた方がいい人がいるのは事実でしょう。
しかし、中小企業診断士を取得するメリットは大きなものがありますので、そのメリットに少しでも魅力を感じるのであれば、十分目指す価値のある資格ではないでしょうか?
今回の記事を読んで、少しでも取りたいという気持ちがある人は、ぜひチャレンジしてもらえればと思います。
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