会社で働きながら、せっかく中小企業診断士の資格を取得したものの、今の仕事ではどうしても資格を活かせず、悶々と過ごしている方もいるでしょう。
会社で中小企業診断士資格を活かすことが難しいのであれば、副業で活かす方法を検討したいところだと思います。
そこで、この記事では、実際にどう副業に取り組んでいけば良いのかを解説していきます。
また、中小企業診断士は5年ごとに登録の更新手続きが必要となりますが、副業でその更新要件も同時に満たす方法について、併せてお伝えしていきます。
中小企業の経営者は想像以上に多いです。そしてその多くは、悩みを抱えています。
実務経験を積みながら、副収入も得たいあなたと、中小企業の経営者がマッチングできれば、お互いの悩みを上手に解決することになるのです。
副業でそれをどう達成していくのか。
まずは、中小企業診断士が副業でできる仕事を知り、その後に副業の注意点を抑えながら、最後にどうやって目当ての副業に巡り合うのか、順を追って見ていきましょう。
中小企業診断士の副業とは
中小企業診断士の更新要件を満たせる副業は限られていますが、副業を行う上での前提知識として、中小企業診断士ができる主な副業をまずは紹介します。
コンサルティング業務
中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家として、中小企業診断士のコアとなる経営コンサルティング業務です。
時間的制約などにより、以前は副業として行うには難しい側面もありましたが、デジタルツールの発達により、休日などで短時間のスポットコンサルティングも可能になりました。
中小企業診断士試験に関連する業務
資格専門学校などで、中小企業診断士試験の受験者を対象に、講師や添削指導を行います。
実務経験がなくてもできる点や休日の副業に向いている点などのメリットがありますが、収入は割と少なく、実務ポイントを稼ぐ要件を満たすことが難しいです。
企業研修・セミナー講師業務
中小企業診断士としての専門的知識に関する研修やビジネススキルに関するセミナーなどを開催することが可能です。
土日に催されるセミナーも多いため、業務内容自体は副業に向いています。
また、研修内容によっては実務ポイントも稼ぐことができますが、当然ながら多くの経験や実績、ネームバリューが必要です。
資格取得後すぐにできるかは、個人の資質によるところが大きいでしょう。
取材・執筆活動(ブログ・その他SNS含む)
ブログやその他SNSを活用し、中小企業診断士の資格試験の勉強方法や実務で必要となる情報について記事を執筆して報酬を得る方法があります。
ただし、初期投資は少ないものの、収益化に時間がかかることが多いため、安定的な収入を求めての副業とは異なります。
補助金・助成金申請支援
中小企業やベンチャー企業の経営者に代わって、補助金の申請業務を行います。
申請代行を請け負う企業の募集や先輩の中小企業診断士のお手伝いでの副業が多いです。
実務従事ポイントの取得も可能ですが、案件の成否による出来高制での報酬支払が一般的で、安定収入とは言い難いケースもあります。
その他
「coconala」「Bizseek」「ストアカ」などのクラウドソーシングサービスを利用して、資格関連スキルや他のビジネススキルを、希望者に提供する副業です。
実務経験者だけでなく、中小企業診断士の資格取得者だからこそ提供できる受験ノウハウなどを商品として売買することが可能です。
今回の副業では、このサービスも活躍します。
中小企業診断士が副業をする際の注意点
副業する際に注意しなければならない基本事項についてもお伝えしますので、以下についても概要を理解しておきましょう。
- 会社の許可(就業規則確認)
- 確定申告(年間20万円超を稼いだ場合に必須)
- 副業と本業とのバランスを考える
なお、「1. 会社の許可(就業規則確認)」「2. 確定申告(年間20万円以上を稼いだ場合に必須と理解する)」については、既にご存知の場合は読み飛ばしてください。
会社の許可(就業規則確認)
就業規則で、副業に関する規定は事前に確認しましょう。
副業を禁止している企業の場合、機密保持のためなど妥当な事由があることがほとんどで、内緒で副業をすることにより、懲戒処分の対象とされるケースがあります。
一定の条件を満たせば、副業許可が得られる可能性もありますので、会社に無断で副業するなどのリスクを冒すことはやめましょう。
確定申告(年間20万円超を稼いだ場合に必須と理解する)
本業の給与の他、別の給与を受けていて、且つその給与が20万円を超える場合に確定申告が必要となります。
今回の中小企業診断士の副業では、20万円を超えることを目指しますので、必ず申告するという認識を持ち、申告方法についても事前に確認しておきましょう。
副業と本業とのバランスを考える
副業と本業のバランスは精神論に感じるかもしれませんが、副業をするうえで一番大切なことです。
特に副業が軌道に乗るまでは、力配分や体調を含めて、本業・副業のバランスが崩れないように注意しましょう。
本業にプラスαの収入を得ながら独立開業やキャリアアップ転職の準備を行い、5年ごとの中小企業診断士登録の更新要件をクリアすることが目的です。
副業することが目的ではないことを、しっかり認識してください。
中小企業診断士の実務ポイントを副業で稼ぐ
中小企業診断士を続けるためには実務従事が必須です。
しかし、企業に勤務している診断士で、実務を経験できる業務に従事していない人も少なくありません。
各地の中小企業診断協会による実務補習で要件をクリアする人も多数いますが、副業でこの実務従事をクリアすることを目指します。
中小企業診断士登録後の更新要件
試験合格後、中小企業診断士と名乗るために登録手続きを行い、その後5年に1回の更新が必要になります。
更新時の要件として、「専門知識補充要件」と「実務要件」の2つを満たす必要がありますが、5回の研修受講でクリアできる「専門知識補充要件」に比べ、「実務要件」は以下の通り、厳しい条件となっています。
以下のいずれかを合計して30日以上行ったこと。
- 診断助言業務等に従事したこと。
- 実務補習を受講したこと。
- 実習、実務補習を指導したこと。
参照:中小企業庁 申請・届出の手引 更新登録申請(2.更新登録の要件)
実務ポイントを稼ぐ方法
さて、一般的に「実務要件」を満たす実務従事で実務ポイントを稼ぐ方法はどういったものがあるでしょうか。
中小企業診断士協会が行ったアンケートでは以下のような結果となっています。
選択肢 | 回答数 | 構成比(%) |
本業(コンサルティング業務等)で取得できる | 975 | 52.1 |
休日等を活用して,コンサルティング業務への参加 | 444 | 23.7 |
県協会の研究会が主催するグループ診断への参加 | 187 | 10.0 |
県協会が主催する窓口経営相談への参加 | 115 | 6.1 |
県協会が主催する診断実務従事への参加 | 287 | 15.3 |
所属企業内での診断活動(業務プロセス革新,経営革新等の提案活動)を行っている | 153 | 8.2 |
取引先中小企業へのコンサルティング活動(下請指導,リテールサポート等の提案活動 等)を行っている | 203 | 10.8 |
その他 | 90 | 4.8 |
合計 | 1,873 | ー |
(複数回答可)
参照:「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果(令和3年5月)
(問11.あなたの実務従事ポイントの取得方法は)
本業で実務要件を満たすケース以外では、中小企業診断士協会関連のイベントによる実務従事ポイント獲得が高い割合です。
しかし、5年という期間はあるものの、本業を抱えながら、30日分の研修を受講して要件をクリアすることは簡単なことではありません。
また、15日間の研修コースは18万円という費用が必要であり、経済的負担としても小さくありません。
そのため、収入を得ながら、独立開業やキャリアアップ転職の準備をし、5年ごとの中小企業診断士登録の更新要件をクリアするような副業選びが必要となります。
実務従事サービスの利用も検討する
副業とは異なりますが、実務従事サービスを利用してポイントを稼ぐ方法もあります。
ほとんどがサービス利用に5万円以上の経費が掛かる高額なケースが多いです。
後ほど詳しく解説しますが、収入を得ながら、独立開業やキャリアアップ転職を目指すための「副業」には「決定的なあるもの」が必要となるのですが、本格的に副業を始める前に、必要に応じて「実務従事サービス」の利用も検討してください。
実務経験を積む一環としても非常に有用です。
中小企業診断士が収入と実務ポイントを稼げる副業
収入を得ながら、独立開業やキャリアアップ転職を目指すための「副業」。
そこで、一番大切なものはなんでしょうか。
ずばり「繋がり」です。
しかし、中小企業診断士の「副業」では、特に大切にする必要があります。
「副業」を成功させるための「繋がり」の作り方を考えていきましょう。
無償・有償に関わらず、知り合いの経営者を支援する
1つ目の「繋がり」作りの目的は、紹介者の確保です。
紹介者を得るために、知り合いの経営者への支援活動を行い、繋がりを作る活動を行いましょう(知り合いとは、SNS上のネットワークも含めてです)。
取得した資格を役立てたいという前向きな人間に対して(特に無償であれば)、そういった場を提供してくれる経営者は少なくありません。
最初は、無償・有償に関わらず、経営者とのネットワーク「繋がり」作りを意識します。
その後、ネットワークが自動的に拡大することで、収入アップも自然と達成することができるでしょう。
なお、ネットワークの拡大に失敗しても、実務要件に通じる活動であれば、無償でも実務ポイントは稼げますので、無駄にはなりません。
クラウドソーシングサービスを入り口とする副業
これは、本命の副業を始める前に、IT知識や事務処理能力などのビジネススキル(労働力)を提供して、スタートアップ企業との「繋がり」を作る目的で行う活動です。
この活動は、一見すると中小企業診断士としての業務以外での副業のようですが、経営者からの紹介ではなく、自身の仕事の結果による、企業からの信頼を得ることができます。
その信頼の結果として、中小企業診断士業務を請け負うことへと繋げるのです。
先に紹介した「coconala」「Bizseek」「ストアカ」などのクラウドソーシングサービスを利用して、資格関連スキルを提供する副業と同時並行して行える点も優れています。
研究会や任意団体へ加入する
特に法的権限のない任意団体であったとしても、同じ境遇にいる仲間と繋がることにより、情報収集力が向上し、「副業」のチャンスは大きく広がります。
また、金額的負担も実務従事サービスを利用するより割安なことが多いです。
地元のサークルや、以下のような団体と「繋がり」を作るよう行動しましょう。
多くの中小企業診断士によると、一緒に資格取得を目指して頑張ったことや駆け出しで苦しいときに一緒に励ましあったという「繋がり」が、その後に一番大きな財産となったという話を多く聞きます。
ぜひ、中小企業診断士の資格取得の途上で繋がりを持った方たちがいれば、その仲間と協力して副業を探す方法も、ぜひ検討してください。
おまけ(中小企業の補助金申請代行サービスの活用)
「繋がり」「ネットワーク」の活用とは異なりますが、コロナ禍以降の現在は、中小企業向けの補助金・助成金に関する申請代行サービスが活況となっています。
それに伴い、副業でのコンサルタント募集も現在盛んに行われていますので、実務ポイントと収入アップを目的に、当該業務の募集を探すこともありだと思います。
ただし、先にも述べたように、完全成功報酬型が多く安定的な収入とは言い難いので、注意が必要です。
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まとめ
● 中小企業診断士資格でできる副業を理解する
● 副業の注意点は必ず事前に確認する
● 中小企業診断士は収入と実務要件を稼ぐ副業を重視する
● 個人ではなく「繋がり」で副業探しを成功させる
中小企業診断士の知識を求めている中小企業の経営者は沢山います。
その方たちとの「繋がり」ができれば、実務要件を満たしながら、且つ現在の収入をアップさせる副業探しも、決して難しいものではありません。
どんな業界でも一人で仕事をすることに限界があるのは同じです。
資格取得を達成した後、人と人との「繋がり」をどう強めることができるか、しっかりと意識して、中小企業診断士の活動を進めていきましょう。
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