中小企業診断士は実務で役に立たない?独占業務がないことが理由?

中小企業診断士資格とは

中小企業診断士の勉強を始めようと思っている人、実際に勉強を始めている人の中には、

「SNSなどで中小企業診断士が役に立たない。」

「資格だけ持ってても、実務では使えない」

このような声を聞き、このまま時間をかけて勉強してもいいのか迷っている方もいるのではないでしょうか?

中小企業診断士は難易度も高く、年に1回しかない試験で、頑張って勉強してとっても役に立たなかったら悲しいですよね。

結論から言うと、中小企業診断士が役に立たないということはありません。

なぜ役に立たないといわれるのか、役に立つといえる理由は何なのか、この記事で紹介していきます。

中小企業診断士が役に立たないといわれる理由

中小企業診断士が役に立たないと主張するのは、主に中小企業診断士の試験がうまくいかなかった方、他の士業の方、中小企業診断士のコンサルを受けた企業の経営者の方が想定されます。

どのような理由で役に立たないといわれる可能性があるのか、紹介します。

独占業務がない

中小企業診断士は、士業の中でも独占業務がないことが知られています。

独占業務とは、その資格を持っている人が独占的に行う業務のことで、資格を持っていない人はその業務を行うことができません。

同じ士業の税理士や公認会計士には独占業務がありますが、中小企業診断士に独占業務はありません。

しかし、世の中には独占業務がない資格はたくさんあり、それでもほとんどの人は問題なく企業の中で働いたり、独立したりして、役に立っているといえます。

独占業務がないだけで、中小企業診断士が役に立たないとはいえないでしょう。

独占業務については、こちらの記事でまとめています。

中小企業診断士に独占業務はある?資格取得のメリットについて解説

中小企業診断士資格のみで活躍は難しい

これは中小企業診断士に限りませんが、資格を持っているだけでは単に知識を保有していることを証明しているだけなので、それだけで活躍をするのは困難です。

中小企業診断士は、中小企業の経営に関する幅広い知識を学び、実務補修を通してそれを実際に活用しますが、一緒に仕事をする事業の内容や環境に関する知識が必要となります。

多くの場合、中小企業診断士資格取得者は企業での就業経験があるため、診断士の資格以外にもさまざまな知識や経験を持っているはずです。

まずは、自身が持っている知識や経験に中小企業診断士試験を通して学んだ企業経営に関する知識を組み合わせることで、役に立つ仕事を行えるようになります。

経営の経験がない中小企業診断士が多い

特に経営者からの意見として、自分で経営の経験がない中小企業診断士からの提案内容に対して、実務では使えない、役に立たないといった言葉が挙がってきます。

これは、確かにそういう面もあるのは事実ですが、大手のコンサルティング会社に所属しているコンサルタントも多くが経営の経験をしていません。

これは、経営の経験があるかどうかという点が課題になるのではなく、経営者とコンサルタントという立場の違い、考え方や視点の違いが要因と考えられるため、中小企業診断士資格自体が役に立たないわけではありません。

お互いの立場を尊重できるような人間関係を構築するために、適切なコミュニケーションを取る必要があります。

実際に中小企業診断士はやめとけと言われる場合もあります。その理由やそれを乗り越えて目指す価値については以下の記事で紹介しています。

中小企業診断士の資格取得をやめとけと言われる理由と目指す価値は?

中小企業診断士の必要性は増していく

中小企業診断士が役に立たないといわれる理由について、中小企業診断士そのものに大きな課題があるわけではないことがわかりました。

中小企業診断士は、世の中の流れを見ると今後も必要性は増していくと考えられています。

なぜ必要性が増していくのか、その理由を3つ紹介します。

中小企業診断士の活用が政界や経済界から期待されている

中小企業診断士は、従来から必要性が認識されていましたが、特に2020年のコロナウイルス蔓延による経営環境の悪化から、さらにその必要性が増してきています。

実際に、中小企業の経営基盤を強化するために中小企業政策が推進されており、補助金関係の業務に加えて、中小企業の経営をサポートする役割として、中小企業診断士の活躍が期待されています。

また、サントリーホールディングスの社長は、中小企業診断士制度を、日本のビジネスリーダー育成に活かしていくことを念頭においた発言を、2020年にしています。

全国で3万人弱の中小企業診断士がいますが、その7割が企業に所属して中小企業診断士業務をほとんど行っていない企業内診断士です。

また、東京などの大都市圏に集中しており、地方の中小企業をサポートする役割が期待されている中小企業診断士は、まだまだ不足しています。

そこで今後は、地方の独立中小企業診断士が増えていくことが期待されており、そのための制度変更や政策なども新たに提案されるかもしれません。

中小企業診断士の独占業務は今後増えていく?

政界や経済界から期待のコメントが出たとしても、独占業務がなく独立が難しいことから、中小企業診断士を避けて他の国家資格取得を目指す人が多いことは事実です。

そこで、中小企業診断士を目指す人を増やすための施策として、今後新たに中小企業診断士にしかできない独占業務を創設することが期待されます。

あくまで私の想像ですが、補助金関係の申請でトラブルが多く発生しているため、書類作成の難易度を高くし、そこを中小企業診断士が担うということが考えられます。

経営コンサルティングに関する業務を独占業務にしてしまうと、不都合が出る機会が多いと思うので、限定した範囲の業務になるのではないでしょうか。

企業内・独立のどちらでも活躍できる

先ほどの項目でも記載しましたが、中小企業診断士の資格取得者のうち7割が企業に所属している企業内診断士です。

この割合はさまざまな捉え方があると思いますが、独立中小企業診断士が不足していることを考えると、需要がある状態でも企業に残る方がメリットがあると判断する人が多いといえます。

独立の需要も強く、さらにそれを選択しないということで企業に残ることに対しても、昇給や資格手当、より経営に近い領域への職種変更などの魅力があります。

このように、中小企業診断士は企業内でも独立でもどちらでも活躍ができるため、取得を目指す人は今後もいなくならないでしょう。

AIにとって代わられにくい職業の代表格

少し古い調査結果になりますが、2015年12月に公表された、「AIによる代替可能性の高い職業」の士業編は以下のような順位になっています。

士業の種類 AIによる代替可能性
行政書士 93.10%
税理士 92.50%
弁理士 92.10%
公認会計士 85.90%
社会保険労務士 79.70%
司法書士 78.00%
弁護士 1.40%
中小企業診断士 0.20%

現在は、AI開発が急速に発展しており、今実施したらまた大きく違う結果が出る可能性がありますが、中小企業診断士が代替されにくい資格であることは変わらないでしょう。

中小企業診断士の業務は、数字からだけでは読み取れないものを把握する能力や顧客の状況を把握するための高いコミュニケーション能力が必要とされます。

また、定型のパターン業務は補助金関係の資料作成などを除けばほとんどなく、サポートする企業の状況ごとに仕事の仕方や判断基準などが変わってきます。

これらの難しさから、AIによる代替性が低いことが想定されます。

一方で、これは中小企業診断士の資格取得者にとっても、成果を出すことが難しいことと同義です。

高い能力を身に付けて、役に立ち必要とされる中小企業診断士を目指しましょう。

中小企業診断士は今後も価値のある資格

ここまで読んでくれば、中小企業診断士が役に立たない資格ではないこと、独占業務の有無にかかわらず、今後も必要なことが理解できたのではないでしょうか。

最後に、なぜ中小企業診断士が今後も価値ある資格であり続けるのかを紹介します。

資格取得後の選択肢が多い

中小企業診断士は、資格を取得したあとの選択肢が多くあります。

すぐにイメージできるのは、独立して自身で事務所を構えることです。

ただ資格があるだけでは厳しいですが、中小企業診断士協会への加入やこれまでの付き合いなどをうまく活かしていけば、初年度から生活に困らないレベルは実現できるでしょう。

また、企業から外に出る選択肢としては、転職も考えられます。

これまでのスキルセット×中小企業診断士で、より経営層に近いポジションにいい条件で転職できる可能性があります。

また、社内に残る選択肢としても、今の仕事をそのまま続けることに加えて、社内でのポジションチェンジも考えられます。

このように、状況や考え方に応じてさまざまな選択肢が得られるのは、中小企業診断士の魅力的なポイントの一つです。

資格取得に至らなくても勉強の過程で身につくものが多い

中小企業診断士は1次試験7科目、2次試験もあり、合格に至るのは簡単ではありません。

もし、最終的に資格取得に至れなかったとしても、さまざまな科目を勉強する過程で得られた知識や考え方は、社会人生活を乗り切りやすく、助けになってくれるでしょう。

特に、多くのサラリーマンは経営企業理論で勉強するマーケティングや組織論の知識を得るだけで、周囲と大きな差をつけることが可能です。

経営に関する知識を身に付けるのは、これからの厳しい世界を乗り切っていくためには、必要不可欠と言えます。

周囲との差別化、厳しい時代の生存確率を高めるために、中小企業診断士の勉強に取り組んでみてはいかがでしょうか?

特に、何を学んだらいいかわからないと考えている方には、中小企業診断士の資格取得に向けた勉強をするのがおすすめです。

中小企業診断士試験おすすめの通信講座

中小企業診断士のおすすめ通信講座を紹介します。低価格帯でコストパフォーマンスに優れたものがおすすめで、高価格帯の講座は含まれていません。

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中小企業診断士は役に立たない?のまとめ

  • 中小企業診断士資格が役に立たないことはない
  • 経済界や政界からも期待を集めている
  • 今後も人気のある資格であることは変わらない
  • 勉強だけでも進めてみるのがおすすめ

ぜひ、中小企業診断士資格やその過程での勉強をうまく活かして、キャリアチェンジやキャリアアップを実現しましょう。

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