あなたの周りに「顧客から人気があって、営業成績が良い」という人はいませんか。
その人たちに共通しているのは、顧客にとって「紹介したくなる人」「応援したくなる人」であるということです。
「あなたから買いたい」「あなたを誰かに紹介したい」といわれるようになるには、どうしたらいいでしょうか。
「紹介営業」のメリットとデメリット、紹介したくなる人の特徴や顧客側の心理状態などをご紹介しながら、具体的にどうすればよいのかを解説していきます。
紹介営業とは?
取引先や得意先、知り合いなど、面識や交流のある人から新規の見込み客を紹介してもらう営業行為を「紹介営業」といいます。
精神的負担が大きいテレアポや飛び込み営業を必死に頑張らなくても、見込み客を獲得できるのなら、こんなに嬉しい話はありません。
しかしながら、こうしたメリットは、これまで積み上げた信頼関係がもたらしてくれるものであり、信頼関係があるからこそ難しい側面もあるということを忘れてはいけません。
紹介営業のメリット
紹介営業には、どんなメリットがあるのでしょうか。
1.成約率の高さ
紹介営業の一番のメリットは、成約率の高さです。
紹介をお願いされた既存顧客と、紹介された新規顧客の間には、すでに信頼関係があります。
その信頼関係をベースにしたアプローチとなり、商談がスムーズに進められます。
話を聞いてもらいやすく、「この人なら、きっと気に入ってもらえるだろう」という既存顧客のフィルターが、成約率の高さにつながります。
また、他社と比較されにくい点もメリットのひとつです。
紹介には「口コミ」と同様か、信頼をおける人の場合にはそれ以上の効果があり、新規顧客は安心感を得ます
価格と品質のバランスが重視される商品やサービスの購入には、他社との比較検討が必須のステップですが、それを飛び越えて商談に持っていけるのが紹介営業です。
2.効率的な成果
新規に顧客を獲得するには、広告、セミナーやイベントの開催などを仕掛ける必要がありますが、紹介営業は、こうしたものにコストや時間をかけることなく、効率的に成果を上げられます。
紹介の話をする際に、既存顧客はこちらの会社紹介や商品、サービスについて、事前に新規顧客にしてくれているはずです。
いちからのアプローチと比較すると、営業にかかる労力の差は歴然です。
紹介営業で取引先が増え、提供した商品やサービスを高く評価してもらえば、さらに別の新規顧客を紹介してもらえる確率が高くなります。
こうした、好循環の効率的な営業スタイルを確立できれば、安定した高水準の営業成績を出せるのは間違いありません。
また、紹介営業の対象は、社外の顧客だけではありません。
商談につながる人脈を持った人が社内にいるケースもありますので、普段から自社の同僚や先輩、後輩と情報交換をしておきましょう。
3.紹介された人の安心感
何か購入するときに、口コミ情報を調べたり、それを元に商品を選別したりする人も多いのではないでしょうか。
自分が知っている人から紹介されたなら、その情報への信頼性はより高いものになります。
また、紹介された人も「情報収集の手間が省ける」「購入までの時間が短縮できる」と、紹介されるほうが便利だと考えるケースもあります。
4.紹介をお願いされる人の満足感
例えば、友人を紹介してほしいと誰かにお願いするとしたら、どんな基準でお願いする人を選びますか。
面倒見がよい人、人づきあいが上手な人、広い人脈があり人望が厚い人に紹介をお願いするのではないでしょうか。
物事をお願いされるということは、人柄を高く評価されている、周りから信頼を得ているということの証であり、間を取り持つことで誰かの役に立てる、おススメを使ってもらえるといった満足感が生まれます。
紹介営業のデメリット
では、紹介営業のデメリットはどのようなことがあるのでしょうか。
1.顧客にイニシアティブを取られる
紹介してほしい新規顧客がいても、紹介をお願いした既存顧客の対応次第では、なかなか紹介してもらえないことがあります。
また、既存顧客が紹介先を選定するので、こちらでターゲットとなる顧客を選べません。
過去にコンタクトをしたことがあり、見込み客になる可能性が低くても、断りにくいという面もあります。
このように顧客側がイニシアティブを取ることになり、こちらでコントロールしにくくなるというデメリットがあります。
2.計画が立てにくい
通常の営業なら、これまでの実績やデータからある程度の見込みを立てることができますが、人に依存する部分が多い紹介営業では、こうした計画を立てにくいという面があります。
紹介営業は、効率的で高い成約率が魅力のエコな営業行為ですが、こればかりに頼ることは大変危険です。
すでに成約が見込める場合は別ですが、「紹介してもらえたらラッキー」くらいに考えて、通常の営業活動をコツコツと積み上げていきましょう。
その地道な取り組みが、紹介営業の種であることを忘れてはいけません。
3.成果がすぐに出るとは限らない
紹介してもらえても、紹介された人にとって「今が買い時かどうか」は別問題です。
商品やサービスを新規に検討するには、タイミングがあります。
このタイミングに合致しているかどうかまでも、紹介してくれた既存顧客に判断を求めるのは筋違いです。
すぐに成約に結び付かなくても、新規の見込み客を獲得することができたのですから、自社のファンになってもらえるよう、そして来るタイミングに声をかけてもらえるよう、信頼関係を大切に育てていきましょう。
4.人間関係への影響
紹介営業は「営業」「既存顧客」「紹介された新規顧客」で成り立つ営業行為です。
しかも、それぞれの信頼関係が土台となっています。
たとえ、提案したものが成約に至らなくても、それぞれの信頼関係を壊すようなことがないように努めなければなりません。
また「断りたいけど、紹介された手前断わりにくい」と新規顧客が感じたり、「紹介したけどその結果どうなったのか」と、既存顧客が気をもんだりすることがないよう、十分に配慮しなければなりません。
ここで対応を間違えると、これまでの良い関係性が崩れてしまいます。
紹介営業では、それぞれの関係性を保ちつつ、それぞれの立場に配慮した質の高い行動が、営業マンに求められます。
紹介したくなる、応援したくなるってどんな心理?
ここまで、紹介営業のメリットやデメリットについて、ご紹介してきました。
それらを踏まえて「紹介したくなる、応援したくなる」心理とは、いったいどのようなものか解説します。
「他人に教えたくなる」
自分がいいと思ったことを投稿し、みんなに見てもらう、また自分がいいと思った投稿を他人にシェアするSNSが分かりやすい例です。
人はいいもの、有益なものを見つけると、他人に教えたくなる心理が働きます。
紹介営業がうまくいけば、営業マンだけでなく、紹介した人も紹介された人にもメリットがあることは、先に触れたとおりです。
自分がおススメしたい商品やサービスを提案する営業マンを応援したくなるのは、このような心理が働くからかもしれません。
「応援したくなる魅力」
一生懸命頑張っている人を応援したくなることはありませんか。
顧客のことを第一に考え、どんな面倒なことでも丁寧に対応してくれる人は、自然とファンを獲得していきます。
トップセールスといわれる人が次々と成約を獲得する理由は、顧客の気持ちや心理状態を的確に判断し、ベストな提案を導き出せる能力もさることながら、その人柄も大きいです。
「この人のために、ひと肌脱ごう」と顧客に思ってもらえたら、紹介営業への道が開けていきます。
紹介したくなる人の特徴
では、紹介したくなる人、応援したくなる人には特徴があるのでしょうか。
「自分が顧客側だったら」と立場を置き換えて考えてみると、とても理解しやすくなります。
1.気持ちを理解してくれる
顧客の置かれている状況を分析し、顧客が何を求めているのか、どうすれば喜んでもらえるのかなど、顧客にフォーカスした思考から導き出された適切な行動や言動が、心に響くアプローチを生みます。
つまり、自分たちの気持ちを理解した上で提案してくれる人に、顧客は心を開いていくのです。
「さすがですね」「分かってもらえて助かる」といってもらえたら、商談はスムーズに進められるでしょう。
2.ベストな提案をしてくれる
商品やサービスで得られるメリットだけでなく、デメリットともいえることもキチンと伝えることが、信頼につながります。
また顧客にとってメリットがないと営業マンが判断した場合は、「売らない」ことも非常に大切です。
顧客にとって何がベストなのかを常に考えた提案は、成約してもしなくても、相手の心にしっかりと残ります。
3.信頼できる
紹介営業の根幹は信頼です。
信頼は、さまざまなアクションの積み重ねで作られていきます。
連絡や報告を速やかにしてくれる、不明点に対して丁寧に説明してくれる、自分のことを一番に考えてくれるなど、普段の行動が信頼へとつながっていきます。
信頼を得られれば、紹介営業の好循環な仕組みを、自然と構築していくことができるようになるでしょう。
明日から実践!紹介したくなる人になるために
ここまで、紹介営業や紹介したくなる人の特徴についてご紹介してきました。
繰り返しになりますが、すべては「信頼される人になる」ことにつながっています。
「この人なら紹介してもいい」と思ってもらうために、早速明日から実践してみましょう。
1.基本はきちんと
当たり前ですが、挨拶や身だしなみといった社会人としてのマナー、速やかな報連相、ハキハキとした応対、笑顔での接客など、営業マンとして必要不可欠な基本事項はクリアするようにしましょう。
紹介営業に限ったことでなく、これらは営業活動の基本です。
この人は信頼できる人なのかという視点で、顧客はあなたを見ています。
2.商材を愛する
突然ですが、自分が担当している商品やサービスに「愛」はありますか。
好きなこと、好きなものを語る人はイキイキしていますが、これは営業活動にも言えることです。
商材の特徴や魅力、導入のメリットなどを、愛情をもって語る人の情熱は、顧客側にも伝わります。
逆に「愛」のないセールストークは、いくらキレイな言葉を並べても、人の心にはまったく響きません。
資料やパンフレットに掲載されている特徴だけでなく、自分自身で「魅力」を探しだしてみるものいいでしょう。
まずは、担当する商材のファンになることからはじめましょう。
3.想像力
「紹介したくなる人の特徴」でも触れましたが、顧客の気持ちを理解し、相手の立場に立ってベストな提案をするには、「想像力」が欠かせません。
どうしたら喜んでもらえるかを相手の立場で想像して、営業のシナリオを考えていくことが大切です。
こうしたことが難しいと感じるなら、自分に置き換えてみると分かりやすいです。
例えば、恋人へのプレゼントを買うとしましょう。
相手が好きなもの、普段から欲しがっていたもの、喜びそうなものからチョイスするはずで、営業活動もこれと同様にとらえれば良いのです。
「自分が客だったら」と想像すれば、ベストな答えに近づいていくのではないでしょうか。
4. 情報の共有
顧客も、仕事の話ばかりでは疲れてしまいます。
「お休みの日は何をされていますか」と、仕事から離れた会話も取り入れてみましょう。
商談のアイスブレイクとしても、とても効果的です。
お互いの趣味や交流関係などの話に発展していけば、お互いを理解できるだけでなく、紹介営業の新しいターゲットが見つかることもあります。
仕事の内容だけでなく、さまざまな情報を共有できる関係性をキープしている営業マンから紹介を頼まれても、顧客は嫌な気持ちはしないでしょう。
なぜなら、会話の中での情報共有で、その人柄を理解できているからです。
5.プラスする
少しハードルは高いかもしれませんが、相手の予想を超える「プラス要素」を付した提案も効果があります。
「そこまでいろいろと考えてくれたのか」と、顧客の心を動かす提案は、あなたに対して好意を抱く大きなきっかけになるはずです。
ここでも想像力を働かせたシナリオがポイントです。
顧客にとってのベストな提案を突き詰めると、何をプラスすれば喜んでもらえるのかが見えてきます。
こうした配慮ができる営業マンこそ、紹介したくなる、応援したくなる人ではないでしょうか。
6.聞き上手
自分の言いたいことばかりを、矢継ぎ早に並べる営業をしていませんか。
良い結果を得たければ、しっかりと相手の話を聞くことが非常に大切です。
商談時間の7割は「聞く」、3割で「話す」くらいのイメージで、聞き上手に徹しましょう。
人は、話を聞いてくれる人に対して「理解してもらえた」と感じ、警戒心を解いていきます。
その会話から新たなチャンスが生まれるかもしれません。
紹介営業で注意すること
既存の顧客や面識のある人から紹介を得ることは、メリットばかりではありません。
注意するべきポイントについてご紹介します。
1.まずは信頼関係から
何度も触れていますが、紹介営業は信頼関係があってこそ成り立つものです。
そのような関係性がない時点で紹介をせがめば、紹介目当てかと関係が悪化するだけでなく、今後の取引も難しくなるかもしれません。
まずは自社の商品やサービスを適切に提案し、顧客に満足していただくことに徹しましょう。
2.紹介してくれた人への配慮
もっとも気を付けなければならないのは、紹介してくれた既存顧客への配慮です。
信頼関係の上に成り立つ紹介営業は、間に入ってくれた人の信頼を失墜させたり、顔に泥を塗るような行為は、厳に慎まなければならないのはいうまでもありません。
また、紹介してくれた人に心配をかけないよう、その後商談がどのようになったのか、都度速やかに報告することも忘れてはいけません。
その人の立場に立って、どのような対応をするのがベストなのかを考えて行動しましょう。
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まとめ
紹介営業のメリットとデメリット、そして「紹介したい」「応援したい」と言われる営業マンになるためにはどうすればよいかについて、解説してきました、
基本的なことはもちろん、顧客の立場に立った配慮のある対応は、紹介営業の根幹である信頼の獲得に不可欠です。
普段の少しの心がけ、発想の転換で、誰でも「紹介したい人、応援したい人」になることができます。
明日から少しずつ実践してみてはいかがでしょうか。
1年後には、周りの環境が大きく変わっているかもしれません。
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