リスクリバーサルとは?強力なマーケティング戦略を身につけよう

中小企業診断士とマーケティング

「長期的に契約してくれる顧客が欲しい」と思っていませんか?

顧客は商品を購入した際に考えられるリスクを恐れ、買うことを諦めてしまいがちです。

そのような顧客に長期的に契約してもらうために、企業は顧客の不安を取り除くようなマーケティングをしなければいけません。

顧客がリスクに対して感じる不安を取り除くことを「リスクリバーサル」といいます。

リスクリバーサルを行うと、顧客の不安が取り除かれ成約率の向上が期待できます。

今回はリスクリバーサルとは何か、なぜリスクリバーサルが必要なのか、メリット、デメリットを紹介します。

リスクリバーサルを行うことで、自信のある商品を販売できる可能性があります。ぜひ最後まで読んで、参考にしてください。

リスクリバーサルとは

リスクリバーサルとは、直訳すると「不安の反転」であり、商品を購入する顧客の不安を和らげることです。リスクリバーサルを行うことで顧客が商品購入に対するハードルを下げることができます。具体的には返金保証、返品保障がリスクリバーサルの一例です。

売り手側がリスクを追うように見えがちですが、一般的に返金率は5%以下と言われているためリターンが期待できます。よってリスクリバーサルは、商品を購入する見込みのある顧客を囲い込むことであるといえます。

リスクリバーサルの事例

では、リスクリバーサルの事例を見ていきましょう。

返金保証

商品を購入後に満足しなかった顧客に対し、一定期間内で条件を満たした場合購入金額の全額を返金することです。大手ハンバーガーショップが「美味しくなかったら全額返金」というキャンペーンを出したことが話題になりました。

返品保証

返品保証は、日用品を購入した場合に多く利用されています。顧客が商品を購入後に万が一、商品に対する効果が得られなかった場合に商品を返品する制度です。

成果保証

成果保証は、塾やジムなどで多く利用されています。購入者が目指すレベルまで到達できなかった場合、必要なプログラムを無料で追加することを指します。

修理保証

修理保証は、家電などに多く利用されています。故障した場合に無料で診断、修理が可能になっています。また長期的にケアする保証もあります。

修正保証

修正保証は、美容室やネイルサロン等の技術的なリスクがある場合に利用されています。例えば美容院で、「パーマが気に入らなかった場合2回まで無料で修正できる」というのが修正保証になります。

リスクリバーサルにおける人間心理の本質

リスクリバーサルをすることで顧客の不安を和らげ、顧客の購入、新規獲得に繋がります。

ではどのような状態でリスクリバーサルを使うとよいのでしょうか。まず顧客における人間心理の本質をみていきましょう。

損失回避バイアスと現状維持バイアス

「競馬で5万円負けてしまったが懲りずにすぐ5万円以上のお金を投下してしまう。」

「モノが捨てられない。」「彼氏とこれ以上一緒にいたくないのに別れられない。」といった経験はありますか?

これは全て損失回避バイアスが働いています。

損失回避バイアスとは「失う」ことを回避する傾向のことです。損失回避バイアスによって人は「何かを手に入れる」か「 何かを失う」を選択する場合、「失いたくない」といった気持ちの方が強くなってしまいます。

競馬をする時は「損をしたくない」という欲求が、モノを捨てるときは「モノを失いたくない」という欲求が、彼氏と別れられないときは「彼を失いたくない」という欲求が働きます。

これほど強く「失いたくない」という欲求が起こる理由は、昔我々がサバンナで生活をしていた時まで遡ることが必要です。持っている食べ物を失ってしまうと、次いつ手に入るか分からない、もしかしたら死んでしまう恐れがあったのです。何があっても食べ物を守らなければいけませんでした。この時から何かを失うという「損失」に敏感に反応するようになり、損失回避バイアスが働くようになりました。

商品の購入を検討する際に「自分に合わなかったらどうしよう」「壊れてしまったらどうしよう」という損失を恐れ購入をためらってしまいます。

つまり、購入してもらうためには恐怖を取り除く「リスクリバーサル」が効果的であるといわれています。

また顧客が継続して購入する意志が固まり、満足すれば「現状を維持したい」という現状維持バイアスが働き、成約件数の上昇に繋がります。成約後も今よりも手厚い保証内容や保証条件を変更できないかの検討が必要です。

リスクリバーサルのメリット、デメリットとは?

人間心理の本質が理解できたところで具体的なメリット、デメリットをみていきましょう。

リスクリバーサルのメリット

リスクリバーサルのメリットには、以下のようなものがあります。

成約件数が上昇し、商品への説得力が強化する

リスクリバーサルによって商品を購入するハードルが下がったことで、成約件数は上昇します。購入者は「自信のある商品」という印象を持つことになるので説得力が増します。

定期的にヒアリングを行うのもいい方法です。購入した客、購入しなかった客それぞれの理由を知ることができれば、購入率は更に上がります。

自社ビジネスのモチベーション向上する

販売者は少しでも返品、返金率を下げようと努力するため、製作から販売、アフターサービスまでの活動に対するモチベーションが向上が見込めます。仕事に対する意識の向上、新サービスの開発など良い連鎖が生まれるでしょう。

返品率が下がる

一般に、許容できる返品率は5%といわれています。つまりそれ以上の返金依頼が来た場合、商品を見直さなければいけません。

集客の悩みを解消するには、顧客が商品を購入するメリットを提示できなければいけません。誰にでもわかりやすく安心できるようなメリット、保証適用における条件を提示できないのであれば、商品の導入は見送るべきです。

リスクリバーサルのデメリット

リスクリバーサルのデメリットには、以下のようなものがあります。

自信がある商品しかできない

先ほどのたとえのように、お客さまは商品を購入することにリスク=不安を抱えています。

どれだけ分かりやすく商品の魅力を説明しても顧客が想像するリスクは簡単には消えません。これをリバーサル(=反転)するには、リスクを感じさせないように商品の魅力を伝えていくか、リスクリバーサルにおける条件提示を明確に行うことが大切です。

顧客の質が低下する恐れがある

「返金してもらえるからいいや」とはじめから、返金してもらう前提でサービスを購入する顧客もいます。リスクリバーサルを取り入れることによって、より多くのクライアントに出会えますが、こういった可能性もあることは知っておいたほうが良いでしょう

条件によっては自社のイメージが下がる

保証適用における条件設定には注意すべき点があります。

例えば明らかに返品させないような条件にしてしまうと、顧客も購入も躊躇してしまいます。

主に「未使用や未開封のみ」といった条件です。誤って購入した場合はこの条件でも問題ありませんが、初めて購入する顧客にとってはどうでしょう。「返品できない」というリスクを恐れて使わないと判断できない商品やサービスのメリットを実感できない可能性があります。

少しでも返品を減らしたいという考えになりがちですが、無理な条件をつける=返品や返金を受け付けないということになるため商品、自社のイメージを下げてしまいます。

きちんと対応しないと商品の価値は下がる

保証内容は、スムーズに実行可能で、顧客への敬意が見えるものでなければいけません

例えば、保証適用における条件が非常に多く煩雑であったり、判断に迷う基準が盛り込まれていたりすると、トラブルに繋がります。そうなると信頼を得るどころか、信頼を失ってしまいます。

リスク・リバーサルは、「顧客の購入に対する不安を取り除き、商品に対して自信を示すこと」です。それは顧客への信頼に繋がります。

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まとめ

・リスクリバーサルとは、商品を購入する顧客の不安を和らげることです。返金保証、返品保証、成果保証、修理保証、修正保証がある。

・顧客は商品の購入を検討する際に損失回避バイアスが働いてしまうため、恐怖を取り除く「リスクリバーサル」が効果的である。

・リスクリバーサルを行うことで成約率が上がる、ビジネスへのモチベーションが上がるなど良い連鎖が生まれる。しかし条件を明確にしておかないとブランドイメージが下がる可能性があるので注意しなければならない。

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