マーケティング活動の全体像|効果的な戦略と流れの基礎知識

中小企業診断士とマーケティング

マーケティング活動は、企業が成功をおさめるうえで欠かせません。最近では、デジタルマーケティングなどにより、効果的に顧客にアプローチできるようになってきています。

このような状況の中で、以下のように悩んでいる方もいるでしょう。

  • マーケティング活動にはどのような手法があるのだろう
  • マーケティング活動を効果的に行うための戦略の立て方が知りたい。

そこでこの記事では、マーケティング活動の基本的な内容や注目のマーケティング手法についてご紹介します。

マーケティング活動の必要性

そもそも、マーケティングとはどのような意味合いを持ち、なぜその活動が必要になるのでしょうか?

マーケティングとは?

企業は、顧客に製品やサービスを売り込むためにマーケティングを行います。ドラッカーは、マーケティングが目指すものについて、以下のように述べています。

「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」

(出所:『マネジメント【エッセンシャル版】──基本と原則』(P.F.ドラッカー著、上田惇生訳、ダイヤモンド社))

ドラッカーが述べている通り、マーケティングの目的は「製品やサービスを売れるようにする」ことです。

具体的なマーケティング活動としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 顧客や市場を理解するための調査や分析
  • 市場分析にもとづいたターゲットの設定
  • 製品やサービスを知ってもらうための広告宣伝
  • 広告宣伝が売上に結びついたかの効果検証

マーケティング活動が必要な理由

そもそも、なぜマーケティング活動が必要なのでしょうか。

現代では、お店に行けば数多くの商品が並んでおり、消費者は多くの選択肢を持っています。

その中から自社の商品を選んでもらうためには、自社の商品を知ってもらう広告宣伝が欠かせません。

また、顧客の属性を特定してアプローチを行うことで、効果的に商品を売ることができます。

前述の通り、マーケティングを成功させることで、商品が売れる仕組みをつくることでき、効率的な売上の増加が期待できます。

効果的なマーケティング活動の手法

マーケティング手法には、以下のような種類があります。

マス・マーケティング

マス・マーケティングとは、広い市場に向けて、製品やサービスを提供するマーケティングのことです。

CMや雑誌などの広告を利用して、大多数の消費者に向けてメッセージを発信します。

食品や日用品など、大量生産型の商品やサービスのマーケティングに適している手法です。

大量生産・大量消費の時代といわれる20世紀には、この手法で多くの企業が成功をおさめました。

一方で、広い市場に向けたマーケティングを行うため、消費者に届けるメッセージが一般化しすぎるという欠点があります。

この欠点を補うために、近年では特定のセグメントに向けて、よりセグメントに特化したアプローチをすることが多くなっています。

ダイレクトマーケティング

ダイレクトマーケティングは、顧客に直接的に製品やサービスを提供するマーケティング手法です。

電話による営業やダイレクトメールを通して、顧客との直接的なコミュニケーション機会を持ち、その中で広告宣伝を行います。

顧客に対して直接的なコミュニケーションを行うことから、顧客ごとのニーズに合わせた提案を行えるため、高い効果が期待できます。

一方で、電話による商品やサービスの提供、メールでの情報発信は、顧客にとって迷惑になることもあります。

顧客の迷惑にならないように、適切なタイミングや配信方法を選ぶことが必要になります。

インバウンドマーケティング

インバウンドマーケティングは、顧客が自ら製品やサービスに興味を持って、企業にアプローチしてくることを目的にしたマーケティング手法です。

オウンドメディアの運営やソーシャルメディアの活用により、自社のコンテンツを顧客に見てもらうことで、企業や自社の商品・サービスに興味を持ってもらうように取り組みます。

顧客に役立つ情報を発信することで、顧客に好意をもたれる企業になることができます。

一方で、売上に結び付くまで一定の時間がかかる点がデメリットです。

マーケティング活動における戦略の立て方

具体的なマーケティング活動における戦略の立て方や、戦略を立てるために必要不可欠な手法を紹介していきます。

調査・分析

マーケティングでは市場動向の把握、顧客ニーズの洞察、競合環境の分析が必要不可欠です。企業は分析手法を活用することで、より的確に分析を行うことできます。

3C分析(Company, Customer, Competitor analysis)

3C分析とは、自社(Company)、顧客(Customer)、競合環境(Competitor)を分析するための手法で、企業が現状を把握して、将来の戦略を立てるために重要です。

まず、自社の状態や製品、サービスの強み・弱みなどを分析します。次に、顧客の属性や消費行動、ニーズなどを分析します。

最後に、競合の戦略や製品・サービス、状態を分析します。3C分析を行うことで、競争優位を確立し、長期的な成長を達成することができます。

PEST分析

PEST分析(Political, Economic, Social, and Technological analysis)は、ビジネスや組織が外部環境からどのような影響を受けるのかを分析する手法です。

特に、政治、経済、社会、技術の4つの要素に焦点を当てて分析を行います。これはビジネスの戦略を立てるときや新規事業開発に役立ちます。

PEST分析を行うことで、将来的な環境の変化に対応できるようになります。

SWOT分析

SWOT分析(Strengths, Weaknesses, Opportunities, and Threats analysis)は、組織の強み、弱み、機会、脅威の4つの要素から分析を行います。

強みは、組織が持っているすぐれたリソースなどであり、優位を得るために活用します。

弱みは、組織が持っている欠陥などであり、改善が必要です。

一方で、機会とは、利用できる市場や新規事業などで、成長を見込むことができます。

最後に脅威は不利な外部環境や競争相手のことで、これらに対応していくことが必要です。

SWOT分析によって、組織が自社にあった戦略を立てることが可能になります。

ターゲットの決定

マーケティング活動において、ターゲットの決定は重要なステップです。

ターゲットとは、商品やサービスを売るときに最適な顧客層のことで、ターゲットの選定には、セグメンテーションと呼ばれる手法を使うことが一般的です。

セグメンテーションとは、顧客をいくつかのグループに分類することで、セグメンテーションを行う際には、人口統計学や地理的要素(居住地など)、消費行動(購入傾向や購入頻度など)などを考慮します。

選定したターゲットに対して、適したアプローチをすることで、より大きな効果を期待できます。

広告宣伝

マーケティングというと、広告宣伝のことを思い浮かべる方も多いと思います。

広告宣伝によって、消費者に商品やサービスの存在を知ってもらい、興味を持ってもらうことが可能です。

広告宣伝を行うためには、テレビやラジオ、新聞やインターネットなど、様々な種類があります。

適切なターゲットに対して、適切な手段でメッセージを伝えることで、販売促進を図ります。

効果検証

成果に繋げるためには、マーケティング活動が狙い通りの効果を出しているのか、定期的に検証を行う必要があります。

マーケティングの効果検証を行う際のKPI(Key Performance Indicator)として、販売数、売上高、顧客数などがあります。

例えば、販売数が予想を上回った場合には広告宣伝が効果的だった、と判断することが可能です。

逆に、売上高が予想を下回った場合、商品やサービスにあまり需要がなかった可能性があります。

このようにマーケティングの効果検証を行うことで、今後の戦略構築に活用できるでしょう。

注目のマーケティング活動手法

近年ではデジタル化が進み、新しいマーケティング手法やツールが注目されています。

SNS広告

SNS広告とは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で行われる広告のことです。

代表的なSNSとしては、FacebookやTwitter、Instagramなどがあります。

SNS広告は、SNS上で、ターゲットとなるユーザーに対して、広告を表示することで商品やサービスをPRします。

ターゲットに直接アプローチすることができること、優れたコンテンツはユーザーによって拡散されることから、効果的な広告手法の1つとして注目されています。

MAツール

MA(Marketing Automation)ツールは、マーケティング業務を自動化するためのものです。

MAツールは、見込み客についての情報収集から、ターゲットへのメール配信、商談のフォローなどのマーケティング業務を自動化することが可能です。

例えば、メールマーケティング機能では、見込み客に対して、タイミングやコンテンツを自動で調整してメールを配信することができます。

見込み客獲得から商談成立までの一連のプロセスを自動化することで、マーケティング活動の効率を上げるツールとして、注目されています。

動画マーケティング

動画マーケティングは、文字や画像に比べて、情報を視覚的に伝えることができるマーケティング活動の手法です。

動画マーケティングには、YouTubeなどの動画共有サイトを使った広告やSNS上での動画投稿などがあります。

動画によって、視聴者にインパクトを与えて、商品やサービスをより魅力的にみせることができるため、近年注目を集めています。

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まとめ

マーケティング活動には調査・分析から効果検証まで、さまざまな活動が含まれており、成功に繋げるためにはどの活動も欠かすことはできません。

自社や環境、競合の分析を行うことでマーケティング活動の戦略・方針を立案することで、成功確率を高めることが可能です。

現代のマーケティング活動には多様な手法があり、より効果的なマーケティング活動を行うことができるようになってきています。

自社の提供したいサービスや製品、狙いたいターゲットに合わせたマーケティング手法を選択し、活動を進めていくといいでしょう。

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