- 利益を出すためにはどのような新商品やサービスを開発すればいいのだろう?
- 今よりもっと利益をあげるために、どのように宣伝を行えばよいのか?
- 現在、展開しているサービスの質や料金は適正なものなのだろうか?
このような悩みを持つ、新商品企画・開発の担当者は多いのではないでしょうか?
効率的なマーケティングのために、市場調査の実施は有力な手段です。最近ではSNSの登場で、企業側が消費者の声を取り入れる手段は格段に増えました。
しかし、せっかく入手した情報をどのように社内で共有したらいいのか、あるいはどのように今後の企業活動に活かしたらよいのか、ということが分からない方もいると思います。
今回はそんな悩みを解決し、効率的なマーケティングのための市場調査レポートの作成ポイントを紹介します。
市場調査レポートについて
市場調査では、以下のような内容を目的に行われます。
- まだ企業側が認識していない問題を探り当てる
- 問題の解決法を検討する
- 問題への対策や、新しい試みが有効的に機能しているか検証する
しかし、市場調査で得られたものは客観的なデータに過ぎず、そのままでは企業側がどのような行動をとるべきか、という示唆にはなりません。
そこで、集められたデータをマーケティングのための市場調査レポートという形に変換する必要があります。
市場調査レポートの目的は市場調査の結果を報告することだけでなく、企業側の今後の施策を導き出すアドバイザーになることです。
市場調査レポートの書き方
では具体的に市場調査レポートをどのように記述すれば、今後の企業活動を提案できる要素を備えられるのでしょうか。
市場調査で収集される情報は結論を導き出すための要素であり、市場調査レポートは得られたデータから論理的に記述されなければなりません。
市場調査レポートの項目
市場調査レポートの作成は大まかに、「目的の設定」→「調査方法の詳細」→「調査の結果」→「調査結果から導き出される結論」というプロセスを踏みます。
市場調査レポートが、目的から結論までを論理的に展開していくために、以下のような構成が必要になります。
表紙・目次
市場調査レポートは会議など、複数人で内容を共有される機会が多いため、目次は是非設けるべきでしょう。
目次の存在は、資料内の特定の情報だけを確認したいときにも便利です。各項目に見出しをつけるのも忘れずに。
表紙には市場調査レポートのタイトルと作成された時期を記載しましょう。
調査目的
ここでは、市場調査は何の目的のために行われるかを記述しましょう。
資料の目的が判明しているなら、読み手が内容を構造的に把握できます。
また、目的が明確だと、情報の取捨選択が的確になり、資料全体がシンプルで無駄のない構成になります。
調査方法
調査方法の詳細は他の項目で触れますので、この項目ではアンケートやインタビュー、ネットリサーチなど大まかな概要を記載すれば十分です。
この項目には「なぜその調査方法を選択したか」という理由が記載されることもあります。調査方法の選択が妥当ならば、調査結果に対する信頼性も向上するからです
調査方法の選択理由を記載する場合、最初に解決したい問題の原因を仮定します。
次に仮定の真偽を検証するのに必要なデータはどのようなものかを逆説的に導き出し、最後にそのデータを抽出できる調査方法を設定したことを論理的に説明しましょう。
調査項目
調査方法がアンケートやインタビューならば、どのような質問を行ったか。
商品のモニタリングなら一定期間中にどのくらいの使用頻度だったか、どれだけ購入されたか、などの具体的な調査内容を記載します。
ただし質問内容が誘導的であったり、回答次第で回答者に利益があったりする場合、調査結果の客観性が損なわれるので注意しましょう。
調査対象
市場調査の対象となった人間の住む地域、年齢層、性別、職業などを詳細に記載します。
どれくらいの人数から集計するか、をあらかじめ決めておきましょう。
目指す人数が決まっていると、具体的な調査期間も見当をつけやすいです。
調査期間
市場調査を実施した期間を具体的な日付で記載します。(例:○○年○○月○○日~○○年○○月○○日)。
信頼性のあるデータの入手にはある程度の期間は必要です。
ただし、時期によってサービスや商品の価値や内容が変動するものを調査する場合は注意が必要です。
適切な調査時期や期間を設定しなければ、観測したいデータが入手できなかったり、調査内容をマーケティングに活かすタイミングが失われたりします。
調査結果
調査で得られた回答や、数値、%を項目ごとに記載します。
数量で表せる結果なら、図やグラフを使用しましょう。注目するべき重要なデータはコメントをつけて強調しておけば、次の分析結果を理解する助けになります。
色や文字の大きさの使い分けで視覚効果を狙うのもいいでしょう。
分析結果
調査結果から読み取れる事実を示し、今後の企業活動の展望や課題、提案を具体的に記述します。ここが市場調査の真の成果となる部分です。
資料
アンケートに使用した質問票などの資料を添えておくと、類似の調査の際に参考になるでしょう。
市場調査レポートの記述テクニック
市場調査レポートの構成だけが分かっても、いきなり読み手に訴えかける内容のものを作成するのはハードルが高いかもしれません。
ここでは優れた市場調査レポートを作成するためのテクニックを紹介します。他の資料を作成する際にも使えるテクニックですので、是非おぼえておいてください。
5W2Hに基づく内容にする
5W2Hは他のビジネスシーンにおいても多用されるフレームワークなのでご存じの方も多いでしょう。記述される情報の要点を整理するには絶好の手法です。
- What(何)……問題、原因
- Who(誰)……調査対象、読者層
- When(いつ)……時期、期間
- Where(どこ)……場所、調査媒体
- Why(なぜ)……動機、理由
- How(どのように)……手段、アプローチ
- How many(どのくらい)……調査費用、データの母数、商品価格
単なる数量や回答に過ぎない調査結果も、5W2Hのフィルターに通すことで主張の根拠となる情報だけを抽出でき、市場調査レポートを簡潔なものにできます。
読みやすさを心掛ける
結論を導くために必要とはいえ、資料が情報の羅列ばかりだと読み手は退屈してしまいます。
そこで、文章は読みやすい構成を心掛けましょう。
特におすすめなのがPREP法やSDS法のような文章の最初に結論や概要を先に伝え、それから詳細や根拠を提示する文体です。
この2つの文体の強みは、読み手は最初に論旨を理解したうえで読み進められることで、その後に提示される情報の理解も早くなることです。
見出しに結論を担当させることも1つの例といえるでしょう。
グラフや図を使用することや、箇条書きで全体に余白を作ることも読み手の疲労感を軽減することに貢献します。
事実と解釈は分ける
客観的なデータのみで資料の結論や主張を導けるならば、それに越したことはありませんが、ときには個人的な予想や推測の類が必要な場合があります。
特に市場調査レポートは提案書としての側面を持つので、この点は避けることができません。
大事なことは市場調査レポートから主観的な部分を排除することではなく、主観的な記述が主観的な内容であることを読み手に分かるように記述することです。
読み手は必ずしも記述内容の客観性を判別できる人間とは限りません。
資料の主張を批判、検討する際の公平性を期すためにも、言及される事柄が個人の主観によるものならば、あらかじめ明言しておくべきでしょう。
読者層を意識する
市場調査レポートはプレゼンや会議で参照されるだけでなく、不特定多数の人間と共有される可能性を含んでいます。
想定される読者が一部の人間に限定されているなら、高度な内容や専門用語を記述するのもいいです。
しかし、そうでない場合は注釈を入れたり、専門知識に関する資料を挿入したりしましょう。
誰にでも理解できる形式であることは、より多くの人間に参照され、考察される資料に不可欠な要素です。
インパクトを重視する
読み手はあらかじめ想像していた内容や、知っている情報に基づく主張には心動かされません。
市場調査レポートの提案力を強化するために、まだ一般認識されていない情報や分析結果を盛り込みましょう。
市場調査レポートが持つ影響力は、内容のインパクトに依存するといっても過言ではありません。
しかし斬新さを重視するあまり、内容が飛躍しすぎることは危険です。
記載内容はあくまで市場調査によって得られたデータと、そこから無理のない分析に基づくものでなければなりません。
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まとめ
上記を理解して尚、作成に躊躇する方は、いっそウェブ上の市場調査テンプレートを利用する方法もあります。
それぞれのサイト上でダウンロードできるテンプレートは差異があるので、自分が利用しやすいものを探してみましょう。
ある程度作成に慣れてきたら、自分なりの使いやすいテンプレートを自作できるはずです。
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