中小企業診断士資格の取得を目指すにあたり、独学で試験に挑戦しようと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、中小企業診断士は難関資格といわれているため、本当に独学で挑むべきか悩みますよね。
- 中小企業診断士試験の独学はどの順番で勉強したらいいの?
- 中小企業診断士試験の独学におすすめのツールはあるの?
- 中小企業診断士試験に独学で挑戦して合格できるかな…
など色々な疑問や悩みがあると思います。
そこでこの記事では、中小企業診断士の独学勉強法について、勉強の順番やコツ、勉強時間などを網羅的に解説します。
中小企業診断士試験を独学で受けるか迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
中小企業診断士一次試験の独学勉強法
中小企業診断士の一次試験は7科目で構成されており、すべてを勉強するには相当な時間を要します。
そのため、効率的に勉強を進めるためには、勉強に取りかかる科目の順番が大切です。
7科目は理解科目と暗記科目に分かれており、理解科目を優先して勉強を始めるのがおすすめです。
- 理解科目:企業経営理論、財務会計、運営管理、経済学・経済政策
- 暗記科目:経営情報システム、経営法務、中小企業経営・政策
理解科目のうち、企業経営理論、財務会計、運営管理の3科目は二次試験でも問われる知識のため、時間をかけて理解を深めるべき科目です。
したがって、理解科目は以下の順番で勉強に取り組むとよいでしょう。
- 企業経営理論:基盤となる科目
- 財務会計:不得意な人は時間がかかる
- 運用管理:比較的優しい内容
- 経済学・経済政策:暗記科目よりは先に始める
暗記科目については、過去問や参考書に目を通して、苦手そうな科目から始めるのが効率的です。
各科目の詳しい説明や、勉強に役立つ資格については以下の記事で解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士一次試験を独学で乗り切る勉強法(科目 の順番)は?
中小企業診断士一次試験合格に必要な勉強時間
中小企業診断士の一次試験と二次試験両方に合格するためには、約1,000時間の勉強時間が必要とされています。
そのうち、一次試験に必要な勉強時間は約800時間です。
一次試験では7科目も勉強する必要があるため、勉強時間のほとんどを一次試験対策に費やします。
各科目のおおよその勉強時間の目安は、以下のとおりです。
- 財務・会計:220時間
- 経済学・経済政策:180時間
- 企業経営理論:140時間
- 経営法務:140時間
- 経営情報システム:120時間
- 運営管理:120時間
- 中小企業経営・政策:80時間
ただし、事前知識がある科目や、得意な科目がある方なら勉強時間は短くできます。
一次試験合格に必要な勉強時間については、以下の記事で解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士二次試験科目の内容と勉強法
二次試験は、一次試験のマークシート形式とは異なり、記述試験がメインとなるため文章能力も問われます。
二次試験は以下の4科目で構成されており、「総点数の60%以上かつ、1科目でも40点未満(100点満点中)のものがない」ことが合格基準とされています。
- 事例Ⅰ 組織・人事
- 事例Ⅱ マーケティング・流通
- 事例Ⅲ 生産・技術
- 事例Ⅳ 財務・会計
勉強法としては、基本的にどの科目も過去問でしっかり対策することが重要です。
一次試験科目でインプットした知識を応用して、アウトプットするイメージです。
過去問で頻出問題を押さえつつ、論理的な回答に慣れていきましょう。
また、二次試験には口述試験(10分程度の面接)もあります。
記述試験で出題された事例I〜Ⅳのなかから質問されるので、試験前に事例を読み直して、落ち着いて対応すれば問題ないでしょう。
二次試験科目の詳しい内容と具体的な勉強法については、以下の記事で解説していますのでぜひご確認ください。
中小企業診断士の二次試験科目は何?具体的な内容と勉強法を解説
中小企業診断士二次試験対策の開始時期
一次試験から二次試験までの期間は約2.5カ月しかありません。
そのため二次試験対策は、一次試験の勉強と並行してはじめる必要があります。
具体的には「一通りそれぞれの科目の全体像を把握できた時期」がベストです。
以下のとおり、一次試験科目には二次試験と関連している科目があるため、関連科目の勉強中に二次試験対策も行いましょう。
一次試験科目 | 二次試験科目 |
企業経営理論 | 組織・人事 |
運用管理 | マーケティング・流通、生産・技術 |
財務会計 | 財務会計 |
二次試験は筆記形式で、論理的な文章での回答能力が問われます。
一次試験の関連科目を勉強中に、二次試験での回答形式もトレーニングしておくと効率的です。
一次試験の暗記科目を勉強中は、二次試験の勉強を休憩として取り入れてみてください。
二次試験の勉強は、理解科目のアウトプット学習の役割も果たすため、より知識定着が進みます。
二次試験対策をはじめる時期については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士一発合格!2次試験対策はいつからはじめるべきか
中小企業診断士二次試験の模試
一次試験日から二次試験日までの期間に、複数の施設で二次試験の模試が開催されています。
二次試験前に模試を受けることには、以下のようなメリットがあります。
- 現状の自分のレベルを把握できる
- 初見の問題に対応できるかを確認できる
- 自分の苦手な部分を確認できる
ただし、目的なしに何となく模試を受けてみるのはおすすめしません。
なぜなら、目的を持たずに模試を受けてもあまり意味がなく、貴重な勉強時間が1日潰れてしまうからです。
二次試験の問題は記述式のため、答えが一つではありません。
そのため、たとえ模試の点数が良くても、本番も同じような結果になるとは限りません。
二次試験までの勉強期間は約2.5カ月と短いため、限られた時間を無駄にしないよう、模試を受ける際は明確な目的を持って臨みましょう。
模試の開催校に関する情報や、開催校の選び方などは、以下の記事をご確認ください。
中小企業診断士二次試験 模試開催8校のスケジュールと特徴を比較解説
中小企業診断士の科目合格制度
例年、中小企業診断士試験の合格率は一桁台と低く、一次試験、二次試験とも合格するまでに2〜3年かかるといわれています。
ただし、不合格だった翌年度も一次試験の全科目を受験するかというと、そうではありません。
一次試験には「科目合格制度」というものがあります。
科目合格制度とは、一科目で100点中60%以上を得点できた場合、一次試験全体では不合格でも、該当の科目は合格とみなされる制度です。
合格した科目については、翌年度から2年間にわたって試験免除が可能となります。
科目合格制度を利用すれば、苦手科目や二次試験対策に学習時間を費やせるようになるため、翌年度、翌々年度の試験合格が現実的になってきます。
科目合格制度を踏まえた戦略について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士の科目合格はどれを狙う?戦略と地雷科目について解説
中小企業診断士試験独学におすすめのテキスト
中小企業診断士試験に独学で合格するためには、テキスト選びがもっとも重要といっても過言ではありません。
テキストを選ぶ際は、以下の2点を重視して選びましょう。
- 初学者が理解しやすい
- 確実におさえたいポイントがわかる
一次試験におすすめなのは、『TACのスピードテキスト』です。
大手資格学校TACから出版されている人気の参考書で、図やイラストが豊富で初学者でもわかりやすいのが特徴です。
また、各科目100問以上の問題が掲載されているため、問題集としても活用できます。
二次試験におすすめなのは、『ふぞろいな合格答案シリーズ』です。
二次試験の合格者から再現答案を募集し、得点につながったキーワードを分析して解答例がつくられています。
現状の自分のレベルを把握でき、ステップアップしやすいのが特徴です。
それぞれのテキストの活用方法や、おすすめの勉強の進め方などを以下の記事で詳しく解説しています。
中小企業診断士試験を独学で合格するためにおすすめのテキストと勉強法
中小企業診断士試験勉強におすすめのスマホアプリ
仕事をしながらや、家事の合間に勉強していると、思ったよりも勉強時間が取れないことが多いですよね。
試験範囲がとても広く、膨大な勉強時間を要する中小企業診断士試験の学習において、スキマ時間の有効活用は非常に大切です。
そんなスキマ時間学習に便利なのがスマホアプリです。
スマホアプリなら、通勤や待ち時間などのちょっとした時間に学習できて、学習記録の管理なども行えるため、忙しい方でも学習がはかどります。
おすすめのスマホアプリは以下の6つです。
- スタディング中小企業診断士アプリ
- 中小企業診断士2022年度版スピード問題集SmartA I
- 中小企業診断士 過去問徹底対策
- 中小企業診断士の手帳
- 中小企業診断士試験対策無料アプリ~過去問題×練習問題
- Studyplus(スタディプラス)
なお、個人開発のアプリなどは、内容が誤っている可能性もあるため注意しましょう。
各スマホアプリの詳しい内容や注意点などについては、以下の記事で解説しています。
中小企業診断士試験の隙間学習に利用できる便利なスマホアプリを紹介
中小企業診断士試験における過去問の活用方法
過去問を効果的に活用することも、中小企業診断士試験で合格するためのポイントです。
中小企業診断士試験は学習科目が広範囲に及ぶため、過去問と参考書を併用することをおすすめします。
一次試験における、過去問を活用した勉強手順は以下のとおりです。
- 参考書で学習内容を知る
- 学習した論点を過去問で解く
- 答え合わせをし、再度参考書で復習する
過去問で勉強する際は、頻出分野に比重を置くことと、解答の理解に注力することの2点を意識すると、より効果的な学習ができます。
二次試験においては、以下の流れで過去問を活用しましょう。
- 最初に過去問を解く
- 自己採点と時間配分の振り返りを行う
- 自分なりの解答プロセスを確立する
二次試験は記述問題のため明確な解答はありませんが、正答の方向性は決まっています。
解答プロセスを自分なりに確立しておきましょう。
以下の記事では、過去問の活用方法や選び方などを詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士試験における過去問の活用方法は?何年分解くべき?
中小企業診断士試験は過去問だけで合格できるのか?
独学合格を目指す方のなかには、「過去問の勉強だけで合格できそう」と考える方もいるでしょう。
しかし、中小企業診断士試験に過去問だけで合格することは難しいです。
なぜなら、過去問は効率的なインプット学習を目的につくられている教材ではないためです。
一次試験は7科目と広範囲にわたるため、出題傾向や難易度を把握して効率良く進めなければ、勉強時間が足りなくなります。
そのため、インプット学習は体系的・効率的に学習できるテキストを利用したほうが時短につながります。
また、二次試験は記述試験と口述試験のため、問題に対する解答だけでなく、解答に至るまでの背景や考え方まで習得する必要があります。
過去問の問題を解けるようになったとしても、本番の問題でも同様に力を発揮できるとは限りません。
以上の理由から、過去問のみで試験に合格するのは厳しいといえます。
過去問の特徴やおすすめの勉強法について、詳しくは以下の記事をご確認ください。
中小企業診断士試験を独学で合格するのは無理か?
中小企業診断士試験に独学で挑戦するにあたって、いちばん気になるのは「独学で合格するのは無理なの?」ということですよね。
結論としては、市販のテキストを購入して独学合格するのは厳しいといえます。
なぜなら、一次試験は7科目あり、勉強範囲が広すぎるからです。
中小企業診断士試験は、1科目ごとに深い知識の習得が必要となります。
しかし、独学だと理解するのに時間がかかりすぎてしまい、7科目を完ペキに網羅するのが困難です。
また、二次試験は記述試験のため、より深い理解が必要なうえ文章で正しく説明できなければなりません。
答え合わせの過程でも、文章全体のつながりやニュアンスが正しいかを、自身で判断して進めていくことになります。
このような点をふまえると、一発合格への近道は学校や予備校、通信講座でプロに教えてもらうことだといえます。
以下の記事では、独学、学校・予備校、通信講座のメリットとデメリットなどを詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
中小企業診断士試験を独学で合格するのは無理?通信講座がおすすめ!
中小企業診断士の独学勉強法まとめ
この記事では、中小企業診断士の独学勉強法について、さまざまな内容をご紹介しました。
このページでご紹介した内容は、各項目のうちの一部にすぎません。
項目ごとに詳しい解説記事を用意していますので、ぜひご確認いただけますと幸いです。
効率的な勉強法をしっかりと見極めて、最短期間で合格できるよう準備しましょう!