商談の運命を左右するキーパーソンは、決裁権を持っている人(決裁者)です。
決裁者にどれだけ効果的なアプローチができるかで受注率が変わってきますので、決裁権を持つ人が誰かを把握することは非常に重要な意味を持ちます。
しかし、以下のような悩みを持っている人は多いのではないでしょうか?
- 決裁権の把握って、本当に成果に繋がっているの?
- 大事なのは分かったけど、具体的にどう行動に移せばいいかわからない。
そこでこの記事では、決裁権の概要や決裁権を把握するためにはどのようにしたらいいのか、解説します。
決裁権とは
決裁権とは、最終的な意思決定を下す権利のことで、決裁権を持っている人のことを決裁者とよびます。
営業現場における決裁権とは、どの金額までの稟議を通す権限を持っているかということを意味しています。
決裁者の数は、社長1名だけの企業もあれば複数名いる企業もあり、企業の規模や価値観によってさまざまです。
決裁者が複数名いる場合には、それぞれ決裁できる内容が異なることが多く、役職が高くなるにつれて決裁できる金額が大きくなる傾向にあります。
また、業務範囲によって分かれている可能性もありますので、単純に職位と金額だけで判断しないように注意が必要です。
決裁権の把握が大切な理由
決裁権の把握が大切な理由は、「稟議を通せるのは決裁権がある人だけ」という一言に尽きます。
決裁権がない人にいくら提案しても、決裁者に認めてもらえなければ受注することはできないのです。
つまり、商談の早い段階でその企業の決裁者が誰か把握することと、受注までの意思決定プロセスがどのようになっているかを把握することが重要になります。
営業に強い会社がやっている3つのこと
営業に強い会社が、商談の成功率を上げるためにやっていることを3点ご紹介します。
・商談の場に決裁者がいるか確認する
・事前に決裁ルートを想定する
・自然なトークで決裁者を確認する
商談の場に決裁者がいるか確認する
決裁者が事前に判明していない場合は、商談の場で確認することになります。
その場に決裁者がいるかいないかによって商談内容や進み具合も異なるので、早い段階で決裁者の有無を確認しましょう。
規模の大きな企業であれば、商談の場に決裁者がいてもその後ろにはさらに上の決裁者が控えている可能性があります。
最終的な決裁までどのような段階を経るのかという、決裁ルートについても商談の流れの中で探ることが必要です。
商談の中で探るといっても、「決裁者はどなたですか?」と直接たずねるのは失礼にあたりますので、会話の自然な流れで確認するようにしましょう。
事前に決裁ルートを想定する
事前に決裁ルートを想定することは、営業に強い会社が商談の前に必ず確認していることのひとつであり、商談に臨むにあたり一番重要なことといえます。
決裁ルートの確認方法は、「会社の規模から想定する方法」と「組織図から想定する方法」の2つがあります。
会社の規模から想定する
企業によって決裁者の数や最終決裁者の役職が異なりますが、会社の規模によって決裁ルートがある程度想定できることが多いものです。
会社の規模というのは従業員数で判断するのが一般的で、従業員数の多い企業であれば担当者、課長、部長、担当役員というように決裁者が複数となる場合が多くなります。
大企業であれば、決裁する金額に応じて担当が異なっており、最終決裁者が社長ではなく営業部門の担当役員であることもあります。
一方で、従業員数の少ない企業であれば、専務、社長というように決裁者の数が少ない、または社長1名という企業もあります。
組織図から想定する
中小規模の企業であれば組織図から想定する方法もあります。
企業のホームページから組織図を入手し、担当者の所属部署と肩書、決裁権を持つ肩書の人がどれくらいいるのかを確認します。
中小規模の企業であれば、社長1人で決裁している会社もあれば、社長に加えて各部門のリーダーに決裁権を持たせている会社もあります。
組織図を確認することで、担当者と決裁者までの距離感を掴むことが可能になるため、どのような組織構成になっているか頭に入れておくといいでしょう。
自然なトークで決裁ルートを確認する
商談の場で担当者から決裁者を確認するプロセスはとても重要ですが、決裁者を聞き出すことが目的と思われてしまうとその後の商談にも影響してしまいます。
商談で使える、決裁ルートを自然に引き出すトーク例をご紹介します。
「今回のご提案について、この後はどのように進めていかれますか?」
「商品の導入については、どのような流れで決定されるのですか?」
いずれも、この後商談の流れはどうなるかということをたずねていますので、この会話の中で「私が決裁します」「上司に稟議書をあげます」というような回答をもらえることが多いでしょう。
過去に取引をしたことがある場合は、「今回も〇〇様が最終決裁をされますか?」と確認すれば、決裁の流れに変更がないか確認することができます。
中小企業診断士試験おすすめの通信講座
中小企業診断士のおすすめ通信講座を紹介します。低価格帯でコストパフォーマンスに優れたものがおすすめで、高価格帯の講座は含まれていません。
診断士ゼミナール
・詳しい解説付きの過去問題集7年分
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スタディング(旧 通勤講座)
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担当者に決裁権がない場合にできる2つのこと
規模の大きな企業との商談では決裁者に会えないことも多いため、その場合は窓口となる担当者にすべてを委ねることになります。
決裁権のない担当者と商談をする場合にできること、気を付けるべきことは以下2点です。
担当者が決裁者に相談しやすい資料を作る
企業の担当者も本来業務があるため、なるべく面倒な仕事は引き受けたくないという人もいるでしょう。
担当者がなるべく手間を感じずに決裁者へ商談を上げてくれるよう、決裁者に相談しやすい資料を作って提案することが重要です。
稟議を通すためには稟議書を作成する必要がある場合もありますので、自社の商品やサービスの説明だけでなく、その企業にとって商品やサービスを導入するとどんなメリットがあるのかという点をまとめた資料を作成します。
最後までフォローを忘れない
決裁権のない担当者との面談後は、最後まできめ細やかなフォローが必要です。
少しでも疑問点や不安な点があると、決裁者への稟議がスムーズに進まない可能性がありますので、メールや電話等でこまめに連絡を取り、不明点がないか確認するなど積極的にコミュニケーションを取りましょう。
まとめ
ここまで、決裁権の把握がいかに重要かということをご説明しました。
営業に強い会社は、決裁ルートを早期に探り効果的なアプローチを行うことに力を入れています。
企業の担当者もやり取りに慣れている人であれば、そんなに身構えずに教えてくれますので、気後れせずに攻めていきましょう。
うまく決裁ルートが把握できたとしても、契約の金額が大きくなるにつれ、稟議を通す決裁者の人数が多くなるので最後まで気を抜いてはいけません。
最終決裁者から待ったがかかって差し戻しなんてことも少なからずありますので、問題が起きた時すぐに対応できるよう、担当者と想定問答をしておくのも良いでしょう。
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